亡き友、亡き母に昭和の名曲を 福岡高校の同期生がバンド結成

本番に向けて練習する(左から)大和さん、藤さん、倉谷さん、青柳さん、藤瀬さん

 福岡県立福岡高校(福岡市博多区)の同期生5人がこの春、バンドを組んだ。奏でるのは昭和歌謡を中心に、亡き親友をしのんだり、病床の母に聴かせることがかなわなかったりした名曲の数々。施設や病院を訪ね、ボランティアで演奏していくことにしている。

同窓会の演奏がきっかけに

 2020年1月に福岡市博多区で開かれた同窓会の会場に、福岡ゆかりのバンド・チューリップの「心の旅」が流れた。演奏したのは、福岡県篠栗町で産婦人科医院を開く医師の藤伸裕さん(69)。宮崎市内の病院に勤務していた時、同僚に勧められてテナーサックスを手にし、日向灘を望む一ツ葉海岸で腕を磨いた。

 「うまいもんだなあ」。京都情報大学院大教授の倉谷昌伺さん(69)は聴き入った。同高から防衛大、海上自衛隊へ。護衛艦勤務や戦術、戦略・戦争史の教官として多忙な日々を送った。時間を取りやすい時期には市民吹奏楽団などで、中学の吹奏楽部で始めたトロンボーンやユーフォニアムを吹いてきた。

 後日、倉谷さんが藤さんに声をかけ、倉谷さんが宗像市内で営む自家焙煎(ばいせん)コーヒーの店で音を合わせるようになった。

 24年12月、同高の同期生で、藤さんの親友だった男性が亡くなった。藤さんと倉谷さんは翌年6月、福岡市東区のスナックを借り切って遺族や同期生20人余りを招いた。サザンオールスターズの「チャコの海岸物語」「蛍」、五木ひろしの「夜明けのブルース」――。友が好きだった曲を吹き、しのんだ。

つながりでメンバーそろう

 同じ頃、倉谷さんの母・榮子さんは宗像市内の病院に入院していた。見舞いに行くたび、「おもしろいことが何もない」と嘆いた。「暖かくなったら、ここで演奏しようか」。一人息子の提案に顔をほころばせた。11月頃のことだった。

 病院の了承を得て、準備を進めていた12月22日、榮子さんは心臓発作で息を引き取った。93歳。面会でようかんを口に運び、「また来るね」と手を振ってから4時間後の別れだった。

 「おふくろの前で吹くのは恥ずかしい気もあった。それでも、聴かせてやりたかったな」

 それから同期のつながりで、雅楽のグループに所属し、筥崎宮で竜笛を吹いている大和隆さん(69)がクラリネットとフルート、母校で数学を教える青柳秀行さん(69)がトランペットで参加。最後に、ジャズダンスのインストラクター藤瀬雅子さん(69)がキーボードで加わり、メンバーがそろった。


高齢者施設では「上を向いて歩こう」「いつでも夢を」「高校三年生」などを演奏する


 これからの活動について、倉谷さんは「昭和には良い曲がたくさんある。懐かしさを感じながら楽しんでもらいたい」、藤さんは「高齢者だけでなく、児童養護施設や療育施設も訪ね、一緒に遊ぶように楽しめたら」と話している。


 問い合わせは「マリンベルズ・コーヒーロースト・ラボ」(0940-72-1257)の倉谷さんへ。


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