【長崎】平和を願うラムネ 原爆資料館で期間限定販売
九州産業大(福岡市)の伊藤敬生教授(63)らが、平和を願う握手をデザインしたラムネを開発した。長崎市で明治期に誕生したラムネを復刻し「ヘイワノラムネ」と命名。同市の長崎原爆資料館で夏頃までの期間限定で販売される。伊藤教授は「明治期の思いを受け継いだ作品。平和の味を感じてほしい」と話している。
明治期の思いを受け継いで復刻
被爆80年の2025年から始まった、触覚や嗅覚など五感を通じて平和を考えてもらう「PIECE of PEACE PROJECT(ヘイワノカケラプロジェクト)」の一環。これまでに被爆樹木を取り巻く音を収録した作品や落ち葉を使ったお香などを作った。
伊藤教授は平和の取り組み以外にも、コロナ禍で苦しんだラムネ製造業者を応援しようと、趣向を凝らしたラムネ開発も進める。そこで平和を「味覚」で訴える商品として目を付けたのが、長崎市の飲料卸売会社「古田勝吉商店」で明治10年に生まれた「御手引ラムネ」だった。
同社の古田雅義代表(52)によると、同ラムネは創業者が居留地の外国人に学んで開発したという。当時のラムネのラベルにも「世界中の人が仲良くなってほしい」との願いを込めた握手が描かれていた。
同社は、現在ラムネの製造をしていなかったため、つながりのあった佐賀県唐津市の飲料製造会社「小松飲料」の小松三郎社長(48)に製造を依頼。小松社長は、初代が持っていたラムネの製造方法が記された明治時代の本を元に、25年秋頃から10回以上試作を重ねて当時の味を再現した。瓶につけた商品タグには御手引ラムネと同じく握手をデザインし、手のひらを交差して平和の象徴であるハトの絵も加えた。
1本800円(税込み)で、原爆資料館内の「ピースカフェ」で販売されている。販売が始まった4月29日には多くの人がその味を堪能した。長崎市の丸本和泉さん(62)は「レモネードに近い感じで酸味と甘みのバランスが良い」と笑顔を見せた。
伊藤教授は「ヘイワノラムネは長崎原爆資料館でしか味わえない。資料館に来るきっかけの一つにもなってほしい」と語った。古田代表は「長崎の事業者として平和を感じられる商品に関わることができてよかった。ラムネを飲みながら平和について考えてもらいたい」と語った。




