【長崎】「孤独のグルメ」松重さん 劇場版の舞台で交流
輸入雑貨商の男性が様々な土地を訪れ、食の魅力を伝えるドラマ「孤独のグルメ」の劇場版「劇映画 孤独のグルメ」は長崎県五島市も舞台となった。1月からの公開に合わせ、監督と主演を務める俳優の松重豊さん(62)が1月22日、同市を再訪して市民らと交流し、島の魅力を語った。
「孤独のグルメ」は久住昌之さんの漫画を原作に2012年からドラマ化され、これまでに10シリーズが放映されている。松重さんが演じる井之頭五郎が、営業先で見つけた飲食店に立ち寄り、自由気ままに飲食をする。下調べなしで店を選び、落ち着いた一人称視点のナレーションで食レポをする独特な描写が、国内外で人気を博している。
劇場版では「究極のスープを探す」をテーマにフランス、韓国、五島市、東京を訪れ、ご当地グルメを堪能する。海を漂流するサバイバルのような展開もある。松重さんが監督、脚本、主演の3役を担う異例の作品で、1月10日から全国の映画館で上映。松重さんは「島の人たちの人柄や丁寧なしぐさが、とてもいい調味料になった」と振り返る。
福江島と奈留島も舞台
五島市では福江島と五島列島中部の奈留島が舞台になり、堂崎教会や奈留教会も登場する。奈留島の「みかんや食堂」の近くでは「あぁ腹が…減った」と名せりふも飛び出す。名物の五島ちゃんぽんに舌鼓を打ち、「島で育った人たちはこの味を忘れるまい」と絶賛している。
22日、五島市役所を訪れた松重さんは「島ごとに独自の文化を持っていて、五島はずっと憧れの地だった。その場所で多くの方に非常にお世話になった」とあいさつ。出口太市長は「市内の多くの所でロケをしていたことに本当に驚いている。またぜひ使っていただきたい」と謝意を述べた。
県立五島高で上映会も行われた。ロケ地の関係者や、市民ら約300人が詰めかけてホールは満席となり、会場は笑いに包まれた。松重さんは舞台あいさつのほか、上映後は「本当に痩せの大食いなのか」や「撮影で食べるときに気をつけていることは」などの質問に丁寧に回答。「聖地巡礼が恒例となり、みなさん(五島に)行きたくてうずうずとすると思う」と語った。
「みかんや食堂」の女将(おかみ)で、映画にもエキストラとして登場した橋口知枝さん(71)も奈留島から駆け付け、「まさかこのようなことがあるとは思ってもいなかった。映画を見た人たちが島に来てもらうきっかけを作れていたらうれしい」と感激していた。
県内ではTOHOシネマズ長崎、ユナイテッド・シネマ長崎、佐世保シネマボックス太陽で上映されている。