【山口】岩国の愛宕山ふくろう公園にインクルーシブ遊具

 障害の有無や年齢にかかわらず遊ぶことができる大規模な「インクルーシブ遊具」が、山口県岩国市愛宕町の「愛宕山ふくろう公園」にお目見えした。3月末から一般開放されており、障害を持つ人の家族から歓迎の声が上がっている。


愛宕山ふくろう公園のインクルーシブ遊具(岩国市提供)

 市が2024年度に整備した。公園内の630平方メートルを専用区画として、滑り台、トンネル、スロープを組み合わせた複合遊具、2人が座ることができる回転遊具、ブランコ、跳躍器具の四つを配置。誰もが使いやすいように工夫を凝らした構造になっており、インクルーシブの意味「包摂的」を体現している。

 地面には子どもが転んでもけがをしにくいゴムチップ舗装を施した。遊具のそばには、言葉や声を出すことが苦手な子らが「うれしい」「かなしい」などの言葉を指して思いを伝えられるメッセージボードを設置している。同公園は米軍岩国基地に近いため米国人の利用者も多く、メッセージは日本語のほか英語でも表記した。


指し示して思いを伝えるメッセージボード

 事業費は8270万円。ほぼ全額を米軍と自衛隊の施設に関連する国の交付金で賄った。

 3月31日午前11時、現地で福田良彦市長が「思いっきり遊んでください。オープン!」と宣言すると、集まった親子連れらが次々と入場。思い思いに好みの遊具で遊び始め、歓声と笑顔が広がった。

 この日、同市の女性(50)は障害がある長男(20)とともに訪れた。「長男はこれまで公園で遊ぶ経験をあまりしてこなかった」という。「今回の遊具完成はとてもうれしい。障害がある子らを保護者が安心して遊ばせることができる場になってほしい」と話した。

 福田市長は「狙いは障害がある子もない子も遊びを通じて助け合い、理解し合うこと。子どもたちはもちろん、地域全体に助け合いの精神が広がっていくことを期待している」と話している。


advertisement