パートナーと再び誓う愛 「バウリニューアル」に熱視線
記事 INDEX
- 2人で前向きに進むきっかけ
- 挙式見送ったカップルも注目
- 結婚10周年から永遠への指輪
人生の節目にパートナーと再び愛を誓いあう「バウリニューアル」が注目されている。チャペルでのセレモニーや会食、指輪の交換などスタイルは様々で、大切な人と歩んできた軌跡を振り返る機会になっている。
2人で前向きに進むきっかけ
「バウ」は英語で「誓い」、「リニューアル」は「更新」を意味する。2020年設立の一般社団法人日本バウリニューアル協会(東京)によると約100年前のイタリア発祥とされ、欧州やハワイでは両親へのプレゼントとしても盛んに行われているという。
福岡市のブライダル会社「ベリーブライダル」は、2022年からプランを提供。第1号となった同市東区の夫婦は同年9月、市内の日本庭園で記念撮影を行った。妻(61)は白無垢(しろむく)など4着の花嫁衣装を着用し、夫(65)と手をつないで庭園の散策を楽しんだ。
きっかけは妻の還暦祝いで、夫が贈り物は何がいいか尋ねた際、花嫁衣装での撮影をリクエストしたという。「夫と結婚して良かったと再確認しました」と笑顔。夫も「2人で楽しむ時間がつくれて良かった」と語った。
ベリーブライダル代表の釘宮恵未さんによると、プランの相場は20万~30万円で、同性カップルや海外からの訪日客にも広げていきたいという。「未来へ向け、2人で前向きに進むきっかけになる。新たな習慣として根付かせたい」と力を込める。
福岡県内にはほかにもプランを用意する事業者がある。福岡市のフォトグラファー山口大志さんは8月、希望の場所で撮影するプラン(写真30枚、女性のヘア・メイク込み4万4000円)を始めた。「2人の思い出がある場所で撮れば、10年先、20年先に見返しても話が弾む。夫婦円満の背中を押せるかも」と話す。
同市のホテルニューオータニ博多は、衣装や食事、チャペルの使用などのプランを予算に応じて用意する。
挙式見送ったカップルも注目
バウリニューアルは、結婚式を挙げていない夫婦からも注目されている。
20年6月に結婚した大牟田市の整体師、猿渡歩見さんと開運コンサル業の妻、麻貴さんは、来年の結婚記念日に打ち掛け姿での記念撮影や柳川市の掘割での川下りなどを計画中だ。3年前はコロナ禍で挙式を見送ったが、「結婚生活を支えてくれる友人や両親に感謝を伝えたい」と思ったという。
公益社団法人・日本ブライダル文化振興協会(東京)によると、20年度には全国で約27万組が結婚式を延期、もしくは中止したとみられる。日本バウリニューアル協会の木原亜沙子代表理事は「コロナ禍で結婚式ができなかった夫婦が節目を迎えれば、需要は高まるのでは」と見込んでいる。
結婚10周年から永遠への指輪
結婚10周年の節目は「スイート10」と呼ばれ、指輪をプレゼントして愛を確かめあう夫婦も多い。
久留米市の宝飾店を経営する「カリスクリエイト」によると、隙間なく宝石を並べる指輪「エタニティーリング」が人気。店では素材や色など100種類以上の見本を参考にオリジナルを注文でき、売れ筋は10万円前後という。社長の山口研二さんは「エタニティーリングは『永遠につながる』という意味を込めた指輪。多幸な人生を夫婦で歩むしるしとして末永く愛用してほしい」と話している。
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