【熊本】天草のプロレス殿堂館1周年 6月25日記念大会

 プロレスを通じて天草を盛り上げる「プロレス殿堂館 リングサイド」(熊本県天草市五和町)が6月25日、オープン1周年を記念した大会を開く。アントニオ猪木やジャイアント馬場、力道山らの貴重なグッズ約500点と、館長の永田章一さん(71)の情熱が、全国からファンを引きつけてきた。6月25日は九州の選手らが天草に集う予定だ。


リングネームをアナウンスする永田さん

 「本日のスペシャルマッチ ジャイアント・ミヤコ~」。殿堂館に設置された本物のリングの上に、「ストロング永田」こと永田さんのアナウンスが響いた。来館者が希望したリングネームを呼ぶサービスだ。リングに上がり、ロープの反動を使って走るロープワークなどを楽しめる。

500点の展示品

 約500点の展示品の中でも、アントニオ猪木のかけ声を発する赤いビートルは、世界に一台しかない。

 「1・2・ワイパー」
 「右折だこのやろー」

 テレビ局の企画で作られたもので、操作するたび声が出る。「元気ですか 闘魂 アントニオ猪木」とのサイン入りだ

 入り口にある力道山の胸像は池上本門寺(東京都)の墓前とここにしかない。永田さんが墓参りを通じて知り合った力道山夫人の田中敬子さん(82)から寄託を受けた。田中さんは名誉館長を務めており、「力道山の名前を若い人に知ってほしい」と話す。ジャイアント馬場の巨大なシューズも並ぶ。

 殿堂館は昨年4月に開業し、これまでに約1500人が訪れた。大会も2回開き、大分県出身の藤波辰爾さんら人気レスラーも参戦した。リングに机を並べて異業種交流会を開いたこともあり、「普段と雰囲気が違って新しいアイデアが生まれた」と好評だった。

 かつて居酒屋を経営した経験から、プロレス技を冠したメニューもコースで提供している(3000円から。要予約)。一番人気は、軟らかく煮込んだ豚軟骨をカリッと焼いた「コブラツイスト」だ。

8月にも大会 ダンプ松本さんら予定

 永田さんは小学生の頃からのプロレスファン。「やられても立ち上がり、外国人選手を空手チョップでなぎ倒す」力道山がヒーローだった。アイス製造会社を経営しながら、地元観光協会の会長として島の振興にも取り組んだ。「天草の新しい観光地として発信したい」と殿堂館を設立した。アントニオ猪木にも電話し、「応援します」とのメッセージをもらった。

 島は過疎化が進む。ピーク時の1955年には約17万人いた天草市の人口は、約7万4000人まで減った。2060年には約3万3000人にまで落ち込むと推計されている。観光業も新型コロナウイルス禍が直撃し、21年の宿泊客数は感染拡大前より約10万人減り、19万人となった。

 それでも力道山ばりの「ネバーギブアップ」の精神で、次々に新しいイベントを企画する。6月25日の記念大会は、天草市の御領地区コミュニティセンターで開き、八代市出身の幸村ケンシロウさんらが出場する。8月の大会には人気女子レスラーのダンプ松本さん、ウナギ・サヤカさんを招く予定だ。

 「何度でも立ち上がるレスラーの姿は人々を勇気づける。その魅力で島を元気にしたい」と永田さん。6月25日の料金は3000円から。問い合わせは殿堂館(080-5240-1235)へ。


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