地元の思い出…中洲大洋の座席が「博多町家」ふるさと館に

2024.05.02

 今年閉館した福岡市・中洲の映画館「大洋映画劇場」(中洲大洋)の座席の一部が、同市博多区の「博多町家」ふるさと館に移設された。館長で漫画家の長谷川法世さん(78)の呼びかけによるもので、長谷川さんは「地元の映画館の思い出を残したかった」と話している。


赤色の座席が移設されたふるさと館の映像コーナー

 中洲大洋は1946年に開館。建物の老朽化で解体が決まり、今年3月31日に惜しまれながら78年の歴史に幕を下ろした。長谷川さんは小さい頃から中洲に足を運び、街中に掲げられた映画ポスターや看板から見る映画を選んで、家族らと楽しんだという。

 長谷川さんは「当時の中洲は映画館の街だった。また一つ自分の中にある街の風景が消え、寂しかった」といい、中洲大洋側に打診し、座席の一部を譲り受けたという。


長谷川法世館長(「博多町家」ふるさと館提供)


 座席は特徴的な鮮やかな赤色の計4席。4月上旬にふるさと館内の博多祇園山笠の歴史・文化を紹介する映像コーナーで、最前列に設置された。

 ふるさと館によると、映像コーナーでは、来館者は最後尾に座ることが多かったが、座席を設置してからは最前列に座る人が増えたという。長谷川さんは、「中洲大洋で映画を見る気分で山笠の映像を楽しんでもらえたらうれしい」と話している。


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