北九州市平和のまちミュージアム(小倉北区)は、スクリーンに囲まれて映像を見る施設「360度シアター」で、市内に残る戦争遺構を巡っているような体験ができる新しい映像を制作した。5月1日に上映を始めるのを前に4月30日、報道機関向けの試写会が行われた。
360度シアターではこれまで、約2500人が死傷した1945年8月8日の八幡大空襲のアニメーションを上映してきた。今回は戦後80年が近づき戦争体験者が少なくなる中、市内に残る7か所の軍事遺構や慰霊塔などを「物言わぬ語り部」として紹介する。
映像は約10分間で、明治期に関門海峡を防備する目的で建設された田向山(たむけやま)砲台跡(小倉北区)や小倉城に残る旧陸軍司令部の正門跡(同)、八幡大空襲で約300人が窒息死した防空壕(ごう)跡に立つ小伊藤(こいと)山公園慰霊塔(八幡東区)などを当時の写真などと合わせて映し出す。360度カメラで撮影された映像では遺構周辺も見渡せ、現地で見学しているような感覚が体験できる。
同ミュージアムは「市内に戦争の痕跡が残っていることを知らない人も多い。戦争の悲惨さを今に伝える遺構を知り、平和について考えるきっかけにしてほしい」としている。
上映は毎時45分から。その他の時間は八幡大空襲のアニメーションを流す。