暮らしに身近な地図へ ゼンリンミュージアムが改装オープン

1930年前後に作成された「小倉鉄道沿線名所図絵」について説明する佐藤館長

 ゼンリン(北九州市)が開設した地図の博物館「ゼンリンミュージアム」が6月6日、2020年の開業以来、最大規模の改装を行い再オープンした。明治以降に普及した鉄道路線図や商店街の店舗案内、道路地図など、近代に入って地図が生活に身近なものとなった経緯をたどる展示を新たに加えた。

近代の資料を拡充

 ミュージアムは、北九州市小倉北区のリバーウォーク北九州の4階と14階に入居し、約1万5000点の収蔵品の一部を展示している。改装では、これまでも展示してきた、宗教の布教や貿易、国防のため15世紀以降に盛んに作られるようになった世界の地図の紹介に加え、近代の資料を増やした。


「最新 北九州工業地図」


 1930年前後の「小倉鉄道沿線名所図絵」は、鉄道の利用促進のために作られたといい、同市周辺の鉄道路線と神社仏閣などの観光地を紹介している。ほかに、奈良県の観光地図や北九州市内の工場と筑豊地区の炭鉱の位置を記した工業地図など、観光業や製造業の発展とともに作られるようになった資料も並ぶ。


デジタルの時代へ

 デジタル化された地図の発展にも触れている。1990年代に普及し始めた初期のカーナビゲーションの実機や、携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」用にゼンリンが開発した地図ソフトなども展示している。


初期のカーナビやPSPの地図ソフト


 さらに、現実世界の都市のビルや道路、川などの位置データをそのまま再現した3次元地図の映像展示も行っており、次世代の地図技術の一端を垣間見ることができる。


位置データで街をそのまま再現する3次元地図


 佐藤渉館長は「近代化の進展とともに地図が生活を支え、誰もが使うものになった。さらに人間でなくAI(人工知能)が使うための3次元地図など、未来社会で地図データの用途が拡大していることを紹介している。過去のカーナビなど懐かしさを感じる資料も見てもらえれば」と話している。


ゼンリンミュージアム
 北九州市小倉北区室町1-1-1 リバーウォーク北九州4F(受付)・14F
 入館料:一般1500円 ※保護者同伴の小学生以下は無料
 開館時間:10~17時 ※月曜休館(祝日の場合は翌平日)


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