磯崎新さんプリツカー賞受賞記念 お弟子さんに北九州市の磯崎建築を紹介してもらう
記事 INDEX
- 建築界のノーベル賞
- 北九州市立美術館の現場責任者にキレる
- 北九州に磯崎建築が多いのは?
「建築界のノーベル賞」とも言われる「プリツカー建築賞」を受賞した大分県出身の建築家・磯崎新さん。北九州市内には磯崎さんが手がけた公共建築物が数多くあり、映画のロケ地としてもスクリーンにたびたび登場します。磯崎さんのアトリエに14年勤めたお弟子さんに、若かりし頃の磯崎伝説を聞きつつ、北九州の磯崎建築を紹介してもらいました。
磯崎新(いそざき・あらた)。1931年大分県大分市生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。卒業後は建築家・丹下健三に師事。1963年磯崎新アトリエを設立。機能主義に反発するポスト・モダン建築の旗手として活躍。ハーバード大、コロンビア大などで客員教授を歴任し、多くの国際コンペで審査員を務める。代表作は茨城県の「つくばセンタービル」(1983年)、「大分県立大分図書館」(1966年)、ロサンゼルス現代美術館(1986年)など。
日本人のプリツカー賞受賞者は磯崎さんで8人目です。過去には東京都庁や代々木第1体育館の設計で知られる故丹下健三さん、茨木春日丘教会(別名:光の協会)の安藤忠雄さんなどが受賞しています。海外では、幻となった新国立競技場を設計した故ザハ・ハディドさんも受賞者の一人です。
西岡弘さん
大学1年からアルバイトとして磯崎新アトリエで働き始め、大学を卒業した1970年からは社員として14年勤めました。今回は北九州市が企画した関係者向けツアーの解説役として、各所を紹介してくれています。もちろん建築家です。
巨大カマボコに宇宙観を描いたステンドグラス
――北九州市立中央図書館・文学館(1974年)といえば、かまぼこ形の独特なフォルム。緑青の屋根も印象的です。映画『図書館戦争』(2013年公開)のメインロケ地としても登場します。
今もきれいに使われているなぁと感心します。中央図書館のようなダイナミックな建築が磯崎さんの真骨頂です。文学館にあるステンドグラスは、江戸時代の思想家・三浦梅園が著書の中で用いた図を参考に、梅園の宇宙観を磯崎さんが表現しました。
――磯崎さんは西岡さんの師匠ですよね。
ですね。当時は近寄りがたかったですよ。まず、社員を褒めません。かといって怒りもしない。アトリエでは設計の説明とかも一切しない。
――怖い……
いやいや。当時の建築事務所にはいわゆる徒弟制度のような雰囲気がありましたから。「親方の技を見て盗む」みたいな。だから手取り足取りという感じはなかったです。磯崎さんはスケッチがすごく上手なんですよ。当時はパソコンがないから、設計図も全て手描きでしょ。磯崎さんはびゃびゃびゃーって描いちゃう。当時はおおらかな時代で、そういったスケッチはみんな捨てちゃって。今思うと大事に保管しとけばよかったよな。