【宮崎】高千穂鉄道の復活めざし保線用カートで試験運行
2008年に全線廃止となった高千穂鉄道の高千穂鉄橋(宮崎県高千穂町)―旧深角(ふかすみ)駅(宮崎県日之影町)間で3月23日、保線用カートを使った試験運行が行われた。同鉄道の復活を目指す「高千穂あまてらす鉄道」(高千穂町)が23年に続いて企画。旧深角駅の保存活動を続ける住民らも見守った。
宮崎県延岡市と高千穂町の延長約50キロを結んでいた高千穂鉄道は、1987年の国鉄民営化を経て89年に第3セクターとして誕生。五ヶ瀬川沿いを走る列車からの景観が人気を集めた。
しかし、2005年の台風14号で壊滅的な被害を受けて運休し、3セクは経営を断念。08年に全線廃止となった。現在は、鉄道の再開を目指した民間会社の後を継ぐ形で同年に設立されたあまてらす鉄道が、高千穂町に残る線路を活用して観光用カートを運行している。
高千穂鉄橋ー旧深角駅の間で
試験運行が行われたのは、観光用カートの運行区間の高千穂駅―高千穂鉄橋間から東に延びた約3.5キロ区間で、トンネルやレール、枕木などが今も残っている。旧深角駅では、近くに住む山本栄治さんが全線廃止となった後も駅舎の保存活動や植樹を行っており、約500メートルにわたる桜並木は名所になっている。
この日は4人乗りの保線用カートを使った試験運行や、旧深角駅で来場者をカートに乗せてトンネル内などを走る体験乗車が行われた。大分県佐伯市から訪れた会社員の男性は「楽しかった。高千穂鉄橋もこのカートで渡ってみたい」と笑顔を見せた。体験乗車の後には、山本さんが毎年春に企画している「桜まつり」も行われた。
体験乗車を見守った山本さんは「将来は10~15人乗りのカートで高千穂駅とを結び、観光ツアーを実現させたい」、あまてらす鉄道専務の斉藤拓由さんは「いつか深角駅まで鉄道を通したい。試験運行を継続し、少しずつでも前進したい」と話していた。