【山口】宇部市の老舗酒蔵がクラフトビール3種を商品化

 日本酒の銘柄「貴」などで知られる老舗酒蔵・永山本家酒造場(山口県宇部市)が今春、クラフトビールの製造販売に乗り出した。地元特産のほうじ茶などを原材料に取り入れ、酒税法上は発泡酒に分類される3種類を発売。若者のアルコール離れが進む中、日本酒より度数の低い商品を提供し、新規の顧客開拓につながることを期待している。

新しい市場を開拓!


4月から販売が始まった3種類のクラフトビール


 新商品は、ほうじ茶を原料にした「10(テン)80(エイティ)」と酒米の山田錦を使った「ジ・アンサー」、フルーティーな香りとグレープフルーツのような苦みが特徴の「ジャマイト」の三つ。いずれも地元産の原材料をできるだけ使用し、4月の発売にこぎ着けた。


 新事業に乗り出したきっかけはコロナ禍だった。感染拡大に伴う「まん延防止等重点措置」や「緊急事態宣言」の発令で、県内でも飲食店が休業や営業時間の短縮を余儀なくされた。若者の間では飲酒習慣の見直しや健康志向の高まりを背景に、あえて酒を飲まない生活スタイルが広がったとされる。

 売り上げがコロナ前の水準に戻らない現実を前に、永山本家酒造場の永山貴博社長(48)は「これからの社会は長い時間、夜遅くまでお酒を飲むことを許容しなくなるのではないか」と懸念を募らせた。

倉庫に醸造所を新設

 現在、酒販各社はノンアルコールや低アルコールの商品開発でしのぎを削る。そこで、日本酒よりアルコール度数が低く、気軽に飲めるクラフトビールの分野に進出することを決断。イベント会場に利用していた築135年以上の本社敷地内の倉庫(約200平方メートル)を改修し、500リットルの発酵タンク4本を備えたビール用の醸造所を新設した。


永山本家酒造場の倉庫を改修して新設された醸造所


 山口県内ではクラフトビールを製造する酒販業者が増えており、新商品の売れ行きは上々という。6月中旬には、宇部市北部の船木地区で取れるかんきつ類「とおくねぶ」を使った新商品も追加する予定で、永山社長は「若者にも飲みやすい味と香りを追求しており、好みの銘柄を選んで楽しむというクラフトビールの新たなスタイルを定着させたい」と意気込んでいる。

 販売中の3種類はいずれも1本330ミリ・リットルで税込み750円。アルコール度数は4~5%。問い合わせは永山本家酒造場(0836-62-0088)へ。


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