【熊本】ビール「7.4」新作が完成 豪雨の復興後押しに

 熊本県人吉市紺屋町の飲食店「笑顔食堂」が九州豪雨の記憶が風化しないようにと造っているクラフトビールの新作が完成した。発生した日にちなんで「7.4(ななてんよん)」と名付けたシリーズ。2024年は相良村産のメロンを原料に使い、復興の後押しにつながることを期待している。

記憶を風化させない

 笑顔食堂は、豪雨で災害ボランティアに取り組んだ江川始佳さん(30)が、活動で出会った嶋村誠一さん(48)と2022年にオープン。熊本市の「ダイヤモンドブルーイング」の協力を得て、地元の特産品などを使って開発を続けている。


クラフトビール「7.4」を手にする嶋村さん

 22年は人吉球磨の緑茶、23年は錦町産の桃を原料にして販売。24年は農家から無償提供された規格外のメロンを使い、香りとホップのうまみが際立つ味に仕上げたという。

 嶋村さんは「外から人が訪れるきっかけになってほしい。地元の人にも思いを知ってもらい、市外から人を呼び込もうという輪が広がっていけば」と話している。

 330ミリ・リットル入りで限定500本(税込み920円)。食堂や熊本市内の飲食店で提供し、人吉市内の観光複合施設「HASSENBA」などで販売している。

能登半島地震でボランティアも

 嶋村さんは笑顔食堂を営業する傍ら、「みらい見守り隊」として各地の被災地でボランティア活動を続けている。元日に起きた能登半島地震では石川県七尾市に入った。

 1月中旬から3月中旬、そして5月にも2週間ほど活動した。家財道具の運び出し、家屋や屋根の応急処置などに取り組んだ。東日本大震災や熊本地震といった過去の災害と比べて、復旧の遅れを感じたという。

 現地では行政との連携や情報共有がうまくいかず、苦労した場面もあった。5月に入っても手つかずの家屋が多く残っており、「半年たったが、まだ復興には時間がかかる。夏休みなどを活用して多くの人にボランティアに行ってほしい」と話している。

 食堂では能登半島地震で被災した酒蔵の日本酒などを数種類提供しており、売り上げの一部は復興支援にあてられる。問い合わせは笑顔食堂(090-2059-5892)へ。


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