【鹿児島】「上野原縄文の森」の展示館が新装オープン
鹿児島県内の埋蔵文化財を紹介する霧島市の「上野原縄文の森」の展示館が初めてのリニューアル工事を終え、オープンの記念セレモニーが10月5日、行われた。最新の研究成果を反映した内容に刷新され、壁面を飾る土器のコーナーなど、多くの来場者が新しくなった館内に見入った。
上野原縄文の森は2002年10月5日に開園。1997年に発見され、国史跡に指定された「上野原遺跡」の保存と活用を目的とし、縄文文化を体験しながら学べる施設として親しまれてきた。昨年7月には来園者数が250万人を突破した。
開園から22年が経過し、新たな出土品が増えたほか、調査や研究の蓄積で得られた新しい知見を展示に反映させる必要があったため、今年1月から開園以来初のリニューアル工事を進めてきた。
展示の説明内容を更新
国内最古で最大級の上野原遺跡の年代はこれまで約9500年前とされ、縄文時代の大規模集落跡・三内丸山遺跡(青森県)が約5900年前であるのと比べても古いとされてきた。しかし、近年の研究で、さらに約1100年遡ることが分かったため、展示の説明内容を更新した。
展示方法も大きく変更。中でも横幅11メートル、高さ4.5メートルの壁面に県内各地の縄文土器計96点を展示したコーナーは見応えがある。これまでは旧石器時代から江戸時代までの土器も含めて紹介していたが、形状の変遷が分かりやすいように縄文時代に絞ったという。
奄美群島の遺跡にフォーカスしたコーナーや、元県考古学会長の河口貞徳さん(故人)の功績をたどるコーナーも設け、トピックごとに楽しめる展示もある。
記念セレモニーで前迫亮一園長は「5日はくしくも22回目の誕生日。新しいステージに立った上野原縄文の森をじっくり味わっていただきたい」とあいさつ。霧島市の中重真一市長らとテープカットで祝った。
石器に関心があり、これまでも訪れたことがあるという鹿児島県姶良市の小学6年の児童(11)は「迫力のある展示になっていて楽しめた。ぜひまた来たい」と喜んでいた。