【熊本】熊本マンガアーツ完成 劇場とギャラリーが一体

 漫画をテーマに、劇場とギャラリーが一体となって楽しめる複合施設「熊本マンガアーツ」が、熊本市中央区の大劇会館地下1階に完成した。運営する漫画出版社コアミックス(東京都)は、熊本をもり立てる新たなエンターテインメントの拠点を目指している。

 「天下御免の歌舞伎者よ」。1月10日夜、威勢の良い語りで舞台の幕が開いた。女性歌劇団「オクロック熊本歌劇団」のメンバーふんする着物姿の主人公、キセルをふかした前田慶次がスポットライトを浴びると、観客から歓声が上がった。


「フュージョンウォール」に投影された聖母像

新エンタメ拠点へ

 施設は2024年12月にオープン。劇場は20年に結成した歌劇団の専用で、広さ210平方メートル、約150席を備える。同社の漫画が原作の舞台を上演しており、現在は劇団員20人で「前田慶次 かぶき旅」の「戦国の花・細川ガラシャ編」の公演が開かれている。

 慶次一行がガラシャをしのぶために豊前中津に向かい、藩主・細川忠興や弟・興元らと交流する物語。歌や踊りはもちろんのこと、殺陣もある。

 舞台と客席の間には、「フュージョンウォール」と呼ばれるスクリーンがある。透過性が高く、映像を投影中でも奥の演者の表情や動きがしっかりと分かる。今回の舞台でも、慶次らがガラシャをしのび、聖母マリア像を見つめる場面で大きなマリア像が投影された。

 刺客との剣劇では、刃先の軌道が白い筋で映し出され、演者の動きと融合して視覚効果は抜群だ。母親と鑑賞した小学2年の児童は「戦うところが格好良かった」と話した。興元を演じた人吉市出身の上琴絵さん(34)は「お客さんの表情から物語を楽しんでいるとわかった瞬間がうれしい」と語る。

 同社の子会社・熊本コアミックス(熊本市)の広報宣伝課、丸山龍太郎主任(30)は「笑えるシーンから泣けるシーンまで、様々な人に楽しんでもらえる」と述べた。より幅広い年代に浸透させようと、新演目の準備も進めているという。

 週末を中心に毎週4~6公演で、午後3時と午後7時に開演。チケットは一般3000円、小学生から高校生までは1000円(当日券はいずれも500円割り増し)。ローソンチケットや施設の受付カウンターで購入できる。

「熊本コアミックスマンガまつり!!」開催中


有名作品の原画が並ぶギャラリー

 もう一つの目玉、アートギャラリーでは、2月24日まで「熊本コアミックスマンガまつり!!」を開催中。「シティーハンター」「北斗の拳」など10作品40点の原画が並び、鉛筆描きの下絵や修整をかけた跡が見て取れる。併設するグッズショップでは、複製原画やアクリルスタンド、ステッカーなどを販売している。

 入場無料。午前11時~午後6時で火・水曜は定休。問い合わせは同施設(080-9054-3701)へ。


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