【大分】臼杵港の新フェリーターミナル完成 現地で式典

 大分県が約21年間をかけて整備を進めてきた臼杵港の新フェリーターミナル(臼杵市板知屋)が完成した。供用開始は5月以降を予定しており、利便性だけでなく、大規模災害時の物資輸送の拠点としても期待される。3月20日、現地で式典が開かれ、関係者が完成を祝った。


新フェリーターミナル(奥の黒い建物)


災害時の物資輸送拠点にも


 東九州の海の玄関口としての役割を担う臼杵港は県内最大の物流拠点。臼杵市と愛媛県八幡浜市を結ぶ航路で、2社が1日14便を運航し、2019年度の貨物輸送量は往復で計1023万トンに及んだ。

 1988年に使用が始まった現在のターミナルは、施設の老朽化が目立つ。泊地や航路が狭く、1か所しかない出入り口を造船所のタンカーや漁船なども一緒に利用しており、増加する貨物需要を受けた船舶の大型化も相まって安全性の確保が難しくなっていた。さらに、南海トラフ地震などの大規模災害の緊急物資輸送の拠点としての機能も高めようと、県が133億円をかけ、現ターミナルの東側約6.5ヘクタールを埋め立てて整備した。

 新ターミナルは、現ターミナルの約1.3倍の2.3ヘクタール。岸壁(水深5.5メートル)は、強固な構造の耐震強化岸壁を採用。船舶が貨物の積み下ろしを行う着岸場所(バース)は、大型の輸送船に対応できるよう、現ターミナルより25メートル長い延長140メートルにした。


バースに停泊する海上自衛隊の多用途支援艦「げんかい」

 2017年度の完成予定だったが、軟弱な地盤が見つかり、完成は約7年遅れとなった。現ターミナルは今後、利用者を探す。

 22年度には、輸送船2隻が同時に着岸できるよう2か所目のバースの整備にも着手している。

 隣接する防災緑地(4.2ヘクタール)は臼杵市が県の委託を受け、一角に遊具の整備などを進めている。


くす玉を割る関係者


 式典には関係者ら90人が出席。式典後にはオープニングイベントも開かれ、市民らが書道パフォーマンスなどのステージや海上自衛隊による多用途支援艦の船内見学などを楽しんだ。


 県臼杵土木事務所建設課の河辺大輔課長(52)は「引き続き九州の東の玄関口として臼杵港の整備に取り組みたい」と話している。


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