【熊本】山鹿提灯の技法で日銀本店を再現 来春まで展示
熊本県山鹿市の山鹿灯籠民芸館で4月12日、和紙を使った灯籠づくりの技法で4人の灯籠師が共同で制作した「日本銀行本店」の展示が始まった。民芸館の建物が1925年に「旧安田銀行山鹿支店」として建築され100年を迎え、24年7月に日本銀行が新紙幣を発行したことなどから企画された。
本館(旧館)・新館・分館の三つの部分で構成され、縦1.32メートル、横1.32メートル、高さ0.48メートルの大作。象徴的な石積みを再現するため、貼り付けた和紙に切り込みを入れてはがし、境目を表現するなど細部までこだわった。
山鹿灯籠は、和紙と糊(のり)だけを使い、社寺などの紙細工を手作業で制作する国の伝統的工芸品。毎年8月のまつりでは踊り手が頭の上に載せて優雅に舞う。
通常は個別の工房でつくるが、展示品の日銀本店は女性灯籠師4人が一つの工房で半年かけて仕上げた。灯籠師の田中久美子さんは「置き場の制約などで、これほど大きい作品を作る機会はめったにない。4人の技術が結集された」と手応えを話した。
日銀本店は建物の上部が「円」に見えることも再現。観光ボランティアガイドとして解説を担当する北原亮輔さんは「2階から『円』の文字を確認してほしい」と呼びかけた。展示は25年3月下旬までの予定。問い合わせは同館(0968-43-1152))へ。