【大分】益次郎の湯が復活! 豪雨を乗り越え2年半ぶり

 2020年7月の九州豪雨で被災後、泉源の温度低下で一度は閉鎖された大分県日田市天瀬町の共同露天風呂「益次郎の湯(益次郎温泉)」が、約2年半ぶりに復活した。別の泉源から湯を調達して4月22日午後、使用を開始。地元民らがさっそく湯船につかり、地域の社交場にもなっていた共同風呂の再開を喜んだ。

日田・天瀬で


復活した益次郎の湯

 益次郎の湯は天ヶ瀬温泉街を流れる玖珠川のほとりにあり、地元の湯山区が所有している。管理運営委員会の代表、森山利秋さんによると、名称は幕末の志士、大村益次郎が湯治に訪れたことに由来する。

 九州豪雨では玖珠川が氾濫して大量の土砂やがれきが流れ込んだ。ボランティアの協力もあって翌月には再開したものの、以前は60度を超えていたという泉源の温度が下がり始め、22年10月には30度ほどに。同月末に閉鎖を余儀なくされた。

地域の社交場 再開に笑顔

 一帯では県による大がかりな河川改修事業が進む。日田土木事務所によると、益次郎の湯の泉源は川底にあり、工事で潰すことになるため、同委員会に補償金を支払った。森山さんらは給湯業者から湯を購入して使うことにし、補償金で新しい湯を引き込むためのパイプなどを整備した。

 閉鎖前の共同風呂は、住民たちが世間話に興じる社交場でもあった。森山さんは「長い時間がかかったけれど、再開できて良かった」と喜ぶ。管理を担うことになった大庭悟一さんも「自宅の風呂とは違った良さがある。大切に使いたい」と笑顔で語った。

 正午~午後9時。100円を支払えば湯山区以外の人も入浴できる。

 日田市天瀬振興局によると、天ヶ瀬温泉街には20年の被災前、安価で楽しめる共同露天風呂が5か所あった。河川改修事業のため「鶴舞の湯」と「駅前温泉」がなくなり、現在は益次郎の湯を含む3か所に減っている。


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