【佐賀】古道具を誰かの「宝物」に…唐津の路地裏で営業
佐賀県唐津市大石町の狭い路地裏の一角で、古道具店「caesura(カエスラ)」が不定期に営業している。オーナーは同市のNPO法人「唐津Switch」理事の三笠旬太さん(37)。唐津の空き家への移住・定住を支援する仕事を通じて、家庭で長く眠る古道具を新たなユーザーに引き継ぎ、再び「宝物」として再生させる夢を実現させた。
空き家などで眠る品 新たなユーザーに引き継ぐ
三笠さんによると、店はかつて印刷会社の作業所で、最近は倉庫として使われてきたコンクリート2階建て。すっきりとした空間でレコードや生活家電、食器、家具などが並び、愛らしい表情を見せている。数年かけてフリーマーケットを回ったり、友人らから譲り受けたりして、こつこつ仕入れてきた。
移住相談者と空き家などを回るうちに、長く放置され、家主も不動産業者も処分に困っているものが大量にあることが気になっていた。「やがてゴミとして処分されるものが、触れる人が変わることで愛着を持つ対象になる」との思いを抱き続けてきた。若者を中心にレコードが再評価され人気を集めていることも、開店を後押しした。
昨年末からDIYで開店準備を進め、5月上旬にオープンした。2階は売り物のソファなどが並び、レコードの音を楽しめる場所にもなっている。店名は「小さな休止」を意味する音楽の記譜の記号にちなんでおり、三笠さんは「ふだんの暮らしの中でちょっと休める空間をイメージしています」と話す。
6月29日に自主映画会 交流会も
6月29日午後には計2回、映画「ロマンチック金銭感覚」(2023年、115分)の自主上映会を2階で催す。「お金」の裏側にある「幸福」を探すというテーマで制作された作品で、上映後には参加者同士のトークや交流の場も提供する。大人は1人1500円(ワンドリンク制)、大学生以下は無料。定員は各回20人程度を予定している。
開店を知った近所の人から「うちのものを見てほしい」と出張依頼も来るようになった。三笠さんは「地域の人と関係を持てるのは面白い」と交流の広がりを期待。「マッチングできれば新たな命を吹き込める。暮らしに潤いを与える商品を提供していきたい」と意気込む。
店の位置や開店情報、映画上映会の参加はインスタグラムで。