「アズ漫画研究会」が創立60周年 北九州市で"還暦祝い"の展示会

会場でテープカットを行う(左から)伊藤さん、文月さん、田中さん、しいたけさん

 漫画同人グループとして国内有数の歴史を持つ北九州市の「アズ漫画研究会」が創立60周年を迎え、記念の展示会が同市漫画ミュージアムで開かれている。結成時の中心メンバーでもある田中時彦館長(74)は「これほど長く続くと思わなかったが還暦を迎えられた。今後とも漫画文化の底辺を支えていく」と語った。

描くことが好きな仲間たち

 1966年11月、田中さんら市立思永中(小倉北区)の当時2年生が結成した。当初は4コマ漫画などを描いた壁新聞を教室で作っていたが、3年生に進級したメンバー6人が同人誌「アズ」を創刊した。誌名は「みんなと同じように漫画を上手に描きたい」との願いを込めた英語「as」に由来。後に「明日」の複数形「あすズ」という意味合いも加えたという。


原点となった創刊号など初期の冊子


 直筆原稿をそのまま冊子にして回覧するところから始まっており、田中さんは「一冊の本を作る面白さ、楽しさ、漫画への情熱があった」と活動の原点を振り返る。


 メンバーが別々の高校に進学後、人気作家の登竜門にもなった漫画雑誌「COM」で会員を募り、全国から約50人が集まった。これまでに所属したメンバーは400人以上。山口県下関市を拠点に活動する漫画家の文月今日子さんや、少女漫画で「おとめチックブーム」を起こした陸奥A子さんらも名を連ねる。

 研究会会長が不在となった97年以降、会長代行を務める事務局代表の伊藤明生さん(78)(八幡西区)は「みんな描くことが好きな仲間。ここで終わらず、もっと伸びていきたい」と情熱は衰えない。

「文化を支え、土壌を育む」

 親から2世代にわたり活動するメンバーも多い。その一人が海外でも人気のイラストレーターしいたけさん(42)(福岡県苅田町)。「全国でこれほど長く続く同人グループはアズぐらい。多彩な職業の人が集まり、地域コミュニティーにもなっている。長く築かれた文化をつなぐため、体が動く限り力になりたい」と意欲をみせる。

 60周年展は、しいたけさんら10~70歳代のメンバー約60人の作品など約200点が並ぶ。日本漫画家協会のちばてつや会長らからのお祝いの色紙も展示。漫画とともに映画も手がけるChavo監督の映像作品を上映し、似顔絵教室やコスプレクロッキー会なども予定する。

 6月6日にセレモニーが行われ、実行委員会代表の田中さんは「60年の思いが詰まった展示会になっている」とあいさつ。伊藤さんや文月さん、しいたけさんとテープカットをして開催を祝った。展示会は28日までの土日に開催。入場無料。


近年の冊子。60年を経た中で、漫画表現の変化がうかがえる


 アズの歴史をたどる展示も同ミュージアム常設展示エリアで開かれており、貴重な創刊号やガリ版の会報などが並んでいる。28日まで。

 石井茜学芸員は「同人グループが一世代で終わらず次の世代が参加して新陳代謝し、創作の幅も広げながら長く続いた特異な存在」と指摘。その上で「北九州の漫画文化を支え、プロ作家が生まれる土壌を育んできた」と評価した。

 展示などの問い合わせは北九州市漫画ミュージアム(093-512-5077)へ。


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