終活に特化した「おとな写真館 YOKITOKI(よきとき)」が7月、福岡市博多区博多駅南にオープンしました。自然光が差すスタジオで、自分らしい"一枚"を残せます。必要にはなるけれど、向き合いづらい遺影。その撮影になぜフォーカスするのか、スタジオを運営する「ナチュラルライト」の代表・五條堀一巳さんに聞きました。
別れの直後に浮上する遺影の問題
写真館は、1967年竣工の6階建て賃貸住宅「山王マンション」をリノベーションした4階にあります。
五條堀さんはオーストラリア、沖縄でスタジオカメラマンを経て、37歳で独立。家族や子どもに特化した写真スタジオを沖縄と福岡に開設し、今回3か所目として「よきとき」のオープンに至りました。
家族との「別れ」が訪れたとき、差し迫る問題として急浮上するのが遺影の用意。これまでに撮った中から遺影に適しそうな一枚を選び出し、業者に加工を頼むことがほとんどです。五條堀さん自身も親族の写真を探すのに苦労した経験があり、「カメラマンである私が、故人の元気なときに撮っていれば……」と悔やんだといいます。
孫の撮影に付き添う祖父母を見て
子どもの写真を撮影する仕事でも「よきとき」につながるヒントがありました。孫の晴れ姿を一目見ようとスタジオまで付き添った祖父母に「一枚撮りましょうか?」と声をかけると、「じゃあ遺影にしようかね」と快く受け入れてくれたそうです。
「自分からは言い出しにくいけど、写真を残しておきたいという方は多いんじゃないでしょうか」
「遺影の撮影」となると、かしこまった雰囲気をイメージしますが、「よきとき」のスタジオは無垢材に囲まれた温かみのある空間。中心には円を描くような縁台と流木が据えられ、障子の向こうからは太陽の柔らかい光が差し込んでいます。
緊張や不安を感じながらスタジオへ上がってきた人も、扉を開けるとホッとした表情になるのだとか。堅苦しさのない自然な姿を引き出せるといいます。料金は、男性向けの「ヘアメイクなしプラン」が税込み1万9000円から、女性向けの「ヘアメイクつきプラン」が2万5000円からです。
記憶を補完する写真を生活の中に
当初は「遺影」と打ち出すことに躊躇(ちゅうちょ)もあったそうです。終活では、資産や遺言、介護などの対応にまず目が向き、写真は後回しになりがちですが、「写真には記憶を補完する役割もある」と話す五條堀さん。仏壇を置かない家が増えるなか、生活スペースに飾られたカジュアルな一枚は、故人との楽しい思い出をいつでも引き寄せてくれます。
五條堀さんは「誕生日や長寿のお祝いなど人生の節目に写真を撮って、大切な思い出を残してもらえれば」と話しています。
店舗名 | おとな写真館 YOKITOKI |
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所在地 | 福岡市博多区博多駅南4-19-5 山王マンション407 |
電話 | 092-260-5494(平日9~16時) |
公式サイト | おとな写真館 YOKITOKI |