福岡市・箱崎「大学湯」保存へ 今秋「銭湯の日」に交流拠点として再生
記事 INDEX
- 学生街にあった築89年の銭湯
- 修繕可能な最後のタイミング
- 資金確保へクラウドファンディング
2012年に廃業した福岡市東区箱崎の銭湯「大学湯」を、地域の交流拠点として再生させる計画が進んでいます。建物の保存・活用に向けて、創業者の親族が一般社団法人「DGY」(石田健代表)を設立。地元のアーティストや写真家らが協力し、修繕費を募るクラウドファンディングも始まっています。
戦前に創業した歴史
大学湯は戦前の1932年(昭和7年)、DGY代表・石田さんの祖父母が創業。九州大学・箱崎キャンパス(2018年に福岡市西区へ移転)のお膝元に位置し、その屋号が学生街だった往時を伝えています。
箱崎キャンパス跡地は大規模な再開発が予定されており、一帯は新しいまちづくりが進む一方で、学生街の面影は少しずつ消えていきそうです。
修繕へ最後のタイミング
DGYなどによると、大学湯は築89年の木造建築で、年季を感じさせる浴室だけでなく、脱衣所のロッカーや床からも昭和の雰囲気が漂います。
近年は雨漏りが深刻で、木製の天井は一部が今にも崩れ落ちそうなほどたわんでいます。壁面のひび割れも進み、関係者は「修繕・保存が可能な最後のタイミング」と話します。
7月下旬から修繕工事に着手し、10月10日(銭湯の日)のリニューアルオープンを目指しています。
資金確保へクラウドファンディング
大学湯は5月下旬から6月上旬にかけて内部を公開。修繕プロジェクトに協力している地元出身の画家・銀ソーダさんの作品展などが開催されました。
銀ソーダさんは大学湯を親子3代で利用。現在はアトリエとして借りており、定期的に個展も開催。改修直前の7月中旬にも作品を展示することにしています。
「改修後は交流拠点として貸し出す予定。銭湯が地域の社交場だった時代のように、新しい大学湯も多くの人が集う場所になってほしい」と話します。
修繕費は約1000万円。金融機関の融資や自己資金では足りない600万円を集めるため、クラウドファンディングを6月20日まで行っています。