BONSAI愛を発信! 福岡市・今泉に専門店「盆栽界隈」が誕生
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ミニ盆栽が並ぶ店内
記事 INDEX
- 月に3日間だけ営業中!
- 「マイ盆栽」作りに挑戦
- 小さな鉢に広がる世界
世界的にブームとなり、若い世代からも注目されている「BONSAI」。若者でにぎわう福岡市・今泉に、専門店「盆栽界隈(かいわい)」がオープンしました。プロの庭師らが本業の傍ら、月末の金・土・日曜にだけ店を開いて、ミニ盆栽の販売やメンテナンス、マイ盆栽を作るワークショップを行っています。
月に3日間だけ営業中!
盆栽界隈は2024年10月にオープンしました。店は国体道路から細い路地を入った場所にあります。普段はアトリエ兼アートギャラリーとして使われている物件を毎月最後の金・土・日曜にだけ借りて出店し、金・土曜は13~20時、日曜は10~16時に営業しています。
店を運営するのは、福岡市で造園業を営む大西淳夫さん(45)と久留米市の盆栽職人・靏久(つるひさ)和也さん(52)です。
店内には、手のひらにのるミニサイズの盆栽などが40~50鉢ほど並びます。価格は2000円台から5万円台が中心で、中には40万~50万円の商品もあります。
一昔前までは、"おじいちゃんの趣味"というイメージが強かった盆栽ですが、近年は若い世代の関心を集めています。店をオープンしてみると、10~20歳代の来店が多いそうで、大西さんは「アートとして価値が見直され、家で育てるアンティークとして広まっています」と話します。
2月の営業は21~23日に予定。4月からは営業日数を増やす考えで、関係者と調整を進めているそうです。
「マイ盆栽」作りに挑戦
店では、盆栽を手作りするワークショップも行っています。所要時間は90分ほど。ヒノキ科の真柏(シンパク)(税込み5500円)か、日本固有種のクロマツ(同6600円)を選んで苗を購入すると、この道32年の靏久さんが指導してくれます。
「まずは正面を決めましょう」と靏久さん。背丈20センチほどのクロマツの苗木を選び、目線の高さで観察します。根の張り具合、幹の曲がり方や枝の広がりなど、格好よく見える角度を見つけます。次に余分な枝を落として15センチほどの高さにし、枝を伸ばしたい方向に針金を使って固定します。
最後は、ポットから苗木を取り出して根をほぐし、鉢のサイズに合うようにカットします。鉢に移し、土をかぶせて水を与えれば出来上がりです。希望すれば、コケをはってもらえます。
「成長するので、『完成』がないのが盆栽の面白いところ。自分で手入れを続ければ愛着もわきますよ」と靏久さんが教えてくれました。
盆栽のメンテナンスにも応じています。作業を依頼すると有料ですが、自分で行う場合は靏久さんがポイントを教えてくれます。「困ったことがあれば、盆栽を持っていつでも相談に来てください」と靏久さん。アフターサービスも万全です。
小さな鉢に広がる世界
大西さんによると、若い世代が注目するようになったのは5年ほど前。コロナ禍によって自宅で観葉植物などを育て始め、盆栽にも興味を持つ人が広がったそうです。
海外では「BONSAI」と呼ばれて愛好家が増えています。農林水産省の統計によると、ヨーロッパへのクロマツ輸出が2020年に解禁されたことなどが追い風となり、輸出量が年々増加しているといいます。
盆栽界隈が営業するのは、個人経営の雑貨店やカフェといった路面店が点在し、若者や外国人旅行客が集まるエリアです。大西さんは「気軽にふらっと入れるような場所にしたい」と話します。
針葉樹か広葉樹か――、実がなるか花が咲くか――、盆栽は樹木の種類によって楽しみ方が変わり、植える鉢によっても表情が変わるそうです。「盆栽は手のひらサイズの小さな地球」と話す大西さん。「興味を持ってくれた人たちに、自分の世界を育てていく面白さを伝えていきたい」と笑顔を見せました。