福岡発「スニーカー専用桐箱」が誕生 大切な一足は宝箱に!
記事 INDEX
- 最高のスニーカーを収納
- マニアが喜ぶデザインを
- 世界に桐箱を広めたい!
大切な一足は“宝箱”に入れて――。福岡市のスニーカー愛好家と、福岡県古賀市の桐箱(きりばこ)メーカー「増田桐箱店」が手を携え、スニーカー専用の桐箱を作りました。高級感あるデザインを施し、マニアが喜ぶ機能を備えた”至高”の一品です。
最高のスニーカーを収納
「大切な靴を輝かせる入れ物を目指しました」。商品を企画した松尾龍馬さん(42)は話します。映像制作やSNS運用などを手がける会社「リーボ」(福岡市)を経営する松尾さんは、250足以上を収集するスニーカー愛好家です。
開発した桐箱は「桐尊足―キリノミコト―」のブランドで展開していきます。松尾さんがアイデアやデザインなどを担当し、1929年(昭和4年)創業の増田桐箱店が一つずつ手作りします。
木目が美しく、木の香りやぬくもりが伝わってくる外観。縦約28センチ、横約38センチ、高さ約18センチで、中には30センチまでの靴が入ります。
手に取ると軽い桐箱は、紙製のシューズボックスより気密性が高く、湿度が一定に保たれるため、カビの発生を防ぐ効果が期待できるそうです。
最上位モデルは「AMATERAS―アマテラス―」。日本神話をイメージして名付け、蓋には「天照至高無上ノ靴(あまてらすしこうむじょうのくつ)」と記されています。
価格は税込み1万6500円と決して安くはありません。それでも「コレクターにとって収納は重要な問題。レアなものは特別な箱に入れたいもの」と松尾さん。数十万から数百万円するような高価な靴を持つコアなマニアの反応は良いそうです。
マニアが喜ぶデザインを
松尾さんが桐箱の蓋を開けると、その裏面に、富士山と荒波を描いた浮世絵風のイラストが現れました。「ワクワク感を楽しんでほしい」と、葛飾北斎の富嶽三十六景をモチーフに松尾さんがデザインしたものです。
よく見ると、荒波のそばにスニーカーの絵が隠れています。「海外の人にも格好いいと思ってもらえるデザインにしました」と松尾さんは話します。
箱の側面には、紙製の靴箱に印字されている型番などをイメージしたデザインや、桐の家紋が描かれています。家紋にもまた、靴のシルエットが隠れています。
箱は2段構造になっており、上段に靴をしまいます。下段は引き出しで、付属品のインソールや靴ひも、タグなどを保管するスペースになっています。
世界に桐箱を広めたい!
開発は2年ほど前に遡ります。増田桐箱店の藤井博文社長が桐箱の新しい用途を思案していた際、スニーカーのブームに着目したのがきっかけでした。
マニアの意見を聞いてみたいと、知人を介して松尾さんと知り合います。アドバイスをもらううち、松尾さんと共同でスニーカー専用の桐箱ブランドをつくることに。藤井さんは「付属品も一緒に保管するスペースが必要なことなど、私たちだけでは思いつきませんでした」と振り返ります。
サンプルが完成すると、2人は2024年4月に福岡市内で行われたスニーカーイベントでアマテラスを発表しました。世界中から訪れたコレクターが足を止め、桐箱を買い求めていったそうです。
桐箱は従来、器や着物など後世に残す大切なものを保管するために使われてきました。桐箱の新たな領域を開拓しようと挑戦を続けている藤井さんですが、「中身を輝かせるぐらい『格好いい箱』という発想はありませんでした」と語ります。「桐箱を触ったことがないような人も興味を持ってくれ、可能性が広がりました」
スニーカーを家宝のように思い、大切に扱っている松尾さん。藤井さんと出会い、ともに理想を追い、「靴と一緒に毎日眺めたくなるような箱ができました」と満足そうに話します。
増田桐箱店の記事はこちら↓↓↓ (2020年1月公開)
世界でうける日本の伝統産業って? 古賀の老舗桐箱店の場合 | ニュース | 福岡ふかぼりメディア ささっとー
福岡ふかぼりメディア ささっとー
洒落た桐箱を作る会社があると聞き、福岡県古賀市の「増田桐箱店」を訪ねました。桐箱と言えば、高級な酒や陶器、着物などを入れる「和」の印象が強いのですが、増田桐箱店ではそのイメージ...