博多の伝統文化を発信する2施設が改装・移転 観光振興へ期待

改装開業した「hakatakara」
博多の伝統文化などを紹介する二つの施設が今春、福岡市内で改装や移転を終えて相次いでオープンした。同市博多区冷泉町の「博多町家ふるさと館」の物産棟を改装した観光交流拠点施設「hakatakara(ハカタカラ)」と、同区のJR博多駅近くのビル内に移転した「はかた伝統工芸館」で、ともに博多の文化の情報を発信する観光施設としての役割が期待されている。
博多町家ふるさと館
「hakatakara」開設
博多町家ふるさと館は1880年代後半~90年代に建てられた町家を改装。1995年に開館した。歴史文化を紹介する展示棟や博多織の実演などが見学できる町家棟、土産物などを販売する物産棟の3棟を備える。
同館は市内屈指の観光名所・櫛田神社の前にある。一帯には観光客が休憩するような施設が少なく、同館では以前から物産棟でカフェや観光案内所の整備を検討してきた。開館30周年を前に昨年12月に着工し、今年4月に改装した施設が完成した。
「hakatakara」は、「博多の宝」と「博多から」を意味し、歴史文化の発信地となるようにとの思いを込めた。棟内にはカフェがあり、テーブル席で休憩できる。
博多織などの伝統工芸や銘菓など土産物の販売も行い、大型のデジタル掲示板を置いて多言語で観光情報を発信するほか、英語が話せる観光コンシェルジュも常駐し、観光客の問い合わせなどに応じる。営業時間は午前10時~午後6時。
不定期で茶道や書道、折り紙など日本文化の体験も行う予定といい、同館の館長で漫画家の長谷川法世さん(79)は「ようやく念願の施設ができた。多くの観光客にここで一息入れていただき、楽しんでもらいたい」と完成を喜んでいた。
はかた伝統工芸館
旧市街エリアに移転
一方、はかた伝統工芸館は元々、同市博多区上川端町にあった旧冷泉公民館を改修して2011年に開館。敷地周辺の遺跡調査などのため、21年に市博物館に一時的に移転していたが、5月2日に今のビル内に移転オープンした。
新しい施設は、承天寺通り沿いのビル1階にあり、博多織や博多人形を中心に歴史や制作工程を紹介する常設展示のほか、工芸体験ができるコーナーなどを設置。工芸品の販売も行っている。午前10時~午後6時で水曜休館。
福岡市は、JR博多駅北側の古くからの神社仏閣がある博多旧市街エリアの伝統を生かした観光振興に取り組んでいる。今回改装や移転をした両館ともにそのエリアにあり、同市の高島宗一郎市長は「福岡市の文化の核として魅力を高めていきたい」と話している。