国史跡の福岡城跡(福岡市中央区)で6月30日、福岡市による初めての天守台発掘調査が始まった。市は12月まで現地で作業を行い、2026年度以降に調査結果をまとめる方針だ。
福岡城跡には、天守台の石垣と礎石が残るが、天守閣の存在を示す絵図など直接的な史料は見つかっていない。一方、近年は天守閣があったことをうかがわせる複数の文書が確認され、その存在を巡って議論が続いている。市は2月に文化庁から発掘許可を得て、25年度予算に調査費用などとして約4300万円を計上した。
発掘調査では、天守台内部の地下1階にあたる「穴蔵」の地面をスコップなどで数十センチ程度掘り、手作業で瓦など遺物の有無を確認する。石垣や礎石も掘り下げて、構造や状態も調べる。
市史跡整備活用課の中村啓太郎課長は「かつての天守台の状況が少しでも判明し、福岡城の研究の一助になればと期待している」と話した。
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