電柱に地域の歴史 ハカタ・リバイバル・プランが活動を再開

電柱に設置された看板を眺める立石さん(左手前)ら

 福岡市博多区のまちおこし団体「ハカタ・リバイバル・プラン」が、各地の電柱に、その街の歴史を紹介する看板を取り付ける活動を再開した。新型コロナウイルス禍で中断しており、設置は約5年ぶり。子どもでも読みやすいように、低い位置に設けたり、漢字に振り仮名をつけたりと工夫を凝らしており、関係者は「郷土愛を育むきっかけになればうれしい」と話している。

地元への愛着につながるはず

「小笹ストリート ストーリー」「殿様の行列が通った道」「あなたは今、立っている。あの時の、その場所に」――。同市中央区小笹5の道路脇の電柱に3月下旬、こうした文言が記された金属製の看板(縦150センチ、横33センチ)が設置された。


5年ぶりに行われた歴史看板の設置作業


 看板には、江戸時代、福岡藩主の黒田家の行列が避暑のため、ここを通って別邸「友泉亭」(現・城南区)に向かったが、急な坂が多い山道で、途中休みを取らなければならなかったため、「大休山(おおやすみやま)」と呼ばれるようになった経緯なども詳述されている。看板は2枚1組で、今回で125か所目となった。


 設置に立ち会った小笹公民館の久原美恵子館長は「ひっそりとした小道にそんな歴史があったと知って、勉強になった。人の流出入の多い地域だが、住民が小笹に愛着を持つことにつながるはずで、ありがたい」と喜んでいた。

コロナ禍を経て5年ぶりに

 同団体は市民に福岡の歴史を身近に感じてもらおうと、2008年にこの活動を始めた。使用料を電力会社に支払うなどして、20年までに市内を中心に124か所の電柱に史料や証言などを基にした歴史看板を設置した。コロナ禍で続けにくくなっていたが、3月に再び取り組みを始めた。

 今回、行政や電力会社側との協議を繰り返し、通行人が看板でけがをした時のための保険料を支払うことで、これまでより低い地上120センチの地点に設置できるようになった。鎌倉時代、モンゴル帝国(元)が最初に日本に襲来した文永の役(1274年)の合戦地点(福岡市・鳥飼付近)の看板なども作成しており、4月下旬に取り付ける予定だ。


新たに設置した看板について説明する立石さん


 団体を運営する立石武泰さん(73)は「2000か所に設置するのが目標。読んだ子どもたちが家で親に話すなど、皆が自分の街の自慢話をするようになってほしい」と願っている。


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