金曜の夜に会いましょう アジ美でライブ@ミュージアム開催

アートカフェで開かれた「ライブ@ミュージアム」。タイの画家による壁面の作品も目を引いた

記事 INDEX

  • 市民や訪日客らに
  • 定期開催で定着を
  • ギャラリー鑑賞も

 福岡市民や観光客らに文化・芸術に気軽に触れてもらおうと、同市博多区の福岡アジア美術館で今夏から、音楽演奏などのライブイベントが定期的に開かれています。「ライブ@(アット)ミュージアム」と題して、原則毎週金曜の19時から30分ほど開催。無料で参加でき、主催者は「多彩なアートに親しみ、福岡の街をもっと楽しんでほしい」とアピールしています。

市民や訪日客らに

 ♪海の声よ 風の声よ
  空の声よ 太陽の声よ…


多くの聴衆が楽しんだ「パンダ・モンキーズ」のライブ

 7月19日夜、アジ美の一角にある「アートカフェ」で、初回のライブが開かれました。福岡を拠点に活動する歌謡バンド「パンダ・モンキーズ」の3人が、三線(さんしん)とキーボードの音色に乗せて心地よい歌声を披露。訪れた約110人がメロディーに合わせて体を揺らしたり、手拍子を送ったりして楽しみました。

 5週間かけて日本縦断旅行をしているというドイツ人の男性(73)は、家族3人で満喫。「とてもいい取り組み。曲もよかったし、ライブの前に美術館のアートも鑑賞できて、楽しめました」と満足そうでした。

 市内の公務員、手塚美由紀さん(39)は「歌が楽しかった」と喜ぶ長女・志帆ちゃん(4)の姿に、にっこり。「定期開催なので(予定を立てやすく)、今度はどの週に行こうかな、と楽しみにできます」と歓迎していました。


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定期開催で定着を

 ライブ@ミュージアムは、福岡市と市文化芸術振興財団が主催。コロナ禍を経て、訪日客も増加傾向にある中、「夜間の観光資源を増やしたい」と企画されました。


ライブ@ミュージアムの特設サイトの一部

 観光客はもちろん、市民も訪れやすいよう、開催は金曜の夜に設定。福岡などで活動するアーティストを招き、歌謡曲のほか、ジャズ、伝統楽器の演奏などが行われており、今後はダンスや伝統芸能の披露も企画したい考えです。スケジュールは特設サイトで紹介しています。


特設サイトでは、出演予定のアーティストなどを紹介

 同財団の西田亜由美・事業課長は「来場者の1、2割が訪日客で、一定の手応えを感じています。金曜夜の定期開催で所要時間は30分ほどと、仕事帰りにも楽しんでもらいやすく、定着して、市民にも観光客にも親しんでもらえれば」と話しています。

ギャラリー鑑賞も

 共催しているアジ美も、ライブによる集客に期待。金曜と土曜は、他の曜日より2時間遅い20時までギャラリーを観覧でき(最終入場は19時30分)、アジ美は「金曜夜のお楽しみとして、ライブの前に美術鑑賞もしてほしい」とPRしています。


「アジアン・ポップ」で展示されている中国の商業ポスター

 開館25周年を迎えたアジ美は記念のコレクション展「アジアン・ポップ」を9月3日まで開催中。1999年に世界初の「アジアの近現代美術に特化した美術館」としてオープンした同館ならではの展示で、所蔵する約5400点から厳選した127点が並びます。


バングラデシュの「リキシャ」

 各国の情勢を反映した絵画や映画のポスター、日本の人力車がルーツというバングラデシュの「リキシャ」、パキスタンの「デコトラ」(デコレーション・トラック)文化を表す作品など、ユニークなアートが紹介されています。アジ美の担当者は「アーティストが創作の源泉とした、親しみやすい大衆美術などがそろっています。当館だからこそできる個性あふれるコレクション展です」とPRしています。


台湾の作家による独創的なアート

 アジアの多彩なアートからパワーをもらって、様々なジャンルのライブを満喫する――。週末の夜、そんな過ごし方もまた楽しそうです。


デコトラを思わせる作品


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