千年続く祈りの場に 大遷宮で鳥飼八幡宮が社殿を総建て替え
記事 INDEX
- 社殿の総建て替えは205年ぶり
- 「自然を感じられる祈りの場」に
- 記念御朱印を販売、CFも実施
この場所をこの先も、地元の人たちの祈りの場として残し続けたい――。福岡市中央区の鳥飼八幡宮で、205年ぶりに社殿を建て替える大遷宮が進められています。遷宮を終えた後は、境内にある石畳なども整備する予定で、神社は費用を集めるためにオンラインショップを設けたり、クラウドファンディングを行ったりしています。
社殿の総建て替えは205年ぶり
鳥飼八幡宮は、福岡城を築いた黒田家とゆかりのある神社です。江戸時代初め、初代藩主・黒田長政公が別邸を建てる際に神社を現在の場所に移したとされています。
解体された拝殿は、1817年に建立されたものでした。長い間、風雨に耐えてきましたが、神社が調べたところ、屋根は下地が腐食して銅板がはがれ落ちていたり、床下の柱などではシロアリによる被害が見つかったりしました。特に建物の土台などは、シロアリ被害で内部がスポンジ状に空洞化していたそうです。
神社としては、歴史ある社殿を修繕して残したいところでしたが、地震や台風などが直撃すれば倒壊する危険性が高かったため、建て替えを決めたそうです。
これまで遷宮は20年ごとに行われ、その都度、修理などをしてきましたが、社殿を取り壊しての総建て替えは205年ぶりのことといいます。
「自然を感じられる祈りの場」に
遷宮は今年3月1日に、ご神体などを仮の住まい「仮宮」に移す神事を執り行い、同月中旬頃から本殿の解体作業が始まりました。4月下旬には新本殿建設のための地鎮祭が行われたそうです。
新たな社殿のうち、ご神体が鎮座する本殿は、伊勢神宮などでみられる木造の神明造りです。本殿前の拝殿は、長さが約8メートルある巨石を柱として配置し、古代からの信仰の形「磐座(いわくら)」をイメージして建てられています。自然の尊さを実感できる造りで、参拝者は奥にたたずむ本殿を巨石の間から拝みます。
また、拝殿の壁は茅葺(かやぶ)きとなり、定期的に新しい茅と替える必要があります。社殿の手入れを続けて、新しくよみがえらせることで、常に若々しく美しい「常若(とこわか)」の精神を伝えていきたいそうです。
山内圭司宮司は「地元のみなさんが一緒になって茅を葺き替えるなどし、この場所がこの先、千年続く祈りの場になってくれたらうれしい」と思いを寄せます。新しい本殿は12月上旬に完成する見通しで、中旬頃にご神体を新本殿に迎える「本遷座祭」を行う予定です。
記念御朱印を販売、CFも実施
遷宮の神事は来年3月に終えますが、木の根が張ってずれた石畳や老朽化した楼門の修復など、社殿以外にも必要な工事があるそうです。神社は、遷宮事業の一環として修繕を続けていく方針で、費用は総額8億円にのぼるといいます。
鳥飼八幡宮は必要な資金を少しでも集めようと、遷宮を記念した御朱印を来年3月まで販売しているほか、クラウドファンディング(CF)を10月12日に始めました。
■ 遷宮記念の御朱印
記念の御朱印は2種類で、金色をあしらった御朱印帳の見開き分の大きさの書状(1枚税込み1万円)と、銀色をあしらった御朱印帳1ページ分の書状(1枚税込み5000円)があります。購入者への感謝の気持ちとして、神社ホームページなどで名前を残すそうです。
記念の御朱印状は「オンライン授与所」でも受けることができます。オンライン授与所ではほかにも、お札やお守りなども販売しており、コロナ禍で神社に参拝できない人たちにも好評だそうです。
■ CFもスタート
CFの返礼品は、旧本殿の木材を使ったお守りやまな板など、神社を身近に感じられる品を用意しています。このほか、デザインを刷新した新しいお守りの先行授与もあります。詳細はCFサイトで。