商店街の宅配事業で本をお届け 筑後市立図書館のサービスが好評

図書の宅配サービスを行っている筑後市立図書館の司書ら

 筑後市立図書館(福岡県)が、商店街の宅配事業を活用し、来館が困難な人たちに無料で本を届けるサービスを始めて13年になった。全国的にも珍しい取り組みで、これまで約3000回、各家庭を訪問し、届けた本は約1万5000冊。同図書館は「図書館の本を読みたいという人たちの希望に応えていきたい」としている。

「読みたい」に応えて13年

 同市中心部の羽犬塚商店街と中央商店街などの店舗でつくる「筑後いきいき宅配チャレンジ会」は2004年、商業活性化や高齢者など買い物弱者支援を目的に、食肉店や菓子店、電器店などの商品を配達する宅配事業を始めた。

 客が登録店に注文すると、チャレンジ会メンバーの「大石青果」が客ごとの注文を集約。シルバー人材センターの担当者が各店で商品を受け取り、車で各家庭に届ける。客は商品代金と配達代100円を支払う。同事業に登録する店舗は会費として毎月3000~5000円を負担する。


図書館の本などを配達する車両


 同図書館は、高齢で車が使えない人や育児で来館できない人などのために、この宅配事業を活用できないかと考え、13年度に入会した。本の配達希望者に配達料を負担させない代わりに、図書館はチャレンジ会に配達料相当分として会費に3000円を上乗せした8000円を毎月負担している。


返却時に"感謝の手紙"も

 自動車の運転免許証を返納し、25年1月から本の宅配を利用している男性(85)は、2週間ごとに5冊ほど配達してもらっている。曽野綾子さんや五木寛之さんらの作品が好きで、最近は後期高齢者の問題にいかに対応していくか参考にするため、体力低下や認知症対策に関する書籍も注文している。

 「本のタイトルや作者がわからない時は内容を伝えると、司書が調べてくれる。無料配達は便利なサービスなのでこれからも利用したい」と感謝した。

 宅配サービスを受けられる人について、図書館では障害者手帳の有無などを条件とせず、来館が困難な理由を聞き、サービス対象者となるか判断している。これまで、骨折で入院中の人の病室に届けたり、図書館までの交通手段がない外国人の親子に、日本語学習のための絵本を持っていったりしたこともあるという。

 一ノ瀬留美館長は「注文電話の際、こちらに選書を任されることもある。返却用の袋に感謝の手紙が同封されていたこともあった」と事業の成果を実感する。

 「いきいき宅配」事業の事務局を務める筑後商工会議所の担当者は「図書宅配の利用者がもっと増えて、いきいき宅配で買い物をする人も増えてくれればうれしい」と期待している。


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