愛されて25年 福岡・けやき通り「ブックスキューブリック」閉店
「ブックスキューブリックけやき通り店」の前で、閉店への思いを語る大井さん
選書にこだわった小規模な独立系書店の先駆けとして知られる福岡市中央区の「ブックスキューブリックけやき通り店」が7月20日に閉店し、四半世紀の歴史に幕を下ろす。店主の大井実さん(65)は、毎年秋にけやき通りなどで開かれる本のイベント「ブックオカ」を手がけるなど、本を通じて人と人をつなぎ、地域を盛り上げてきた。今後は同市東区の箱崎店を拠点に新たなまちづくりに挑戦する。
独立系書店の先駆けとして
大井さんはイベント会社勤務などを経て、2001年にけやき通り店を構えた。13坪の店内は木製の床や白熱灯の照明が落ち着いた雰囲気で、大井さんが選んだ雑誌やビジネス書、文芸書など様々なジャンルの約1万冊が並ぶ。店名は開業年にちなみ、映画「2001年宇宙の旅」の監督名にあやかった。
25年に両親を相次いで亡くし、自身も65歳になることなどから「人生を見直す時期」と閉店を考えるようになった。08年に開いた箱崎店との2店舗経営も大変で、1か所に集約することにしたという。
「本好き」つないで街に活気
開店当時は、「天神書店戦争」と呼ばれるほど同市・天神に大型書店が乱立。「すぐにつぶれるよ」と言われたこともあったが、売り上げや在庫のデータを細かく分析しながら選書にこだわり、魅力的な店づくりに取り組んだ。
大井さんは、書店経営だけでなく本を通して地域を盛り上げようと、「福岡を本の街に」を合言葉に「ブックオカ」を発案。実行委員長として、06年から毎年10、11月、けやき通りでの古本市をはじめ、市内の書店員が「激オシ」の文庫本を募って推薦帯を制作する企画などを催してきた。ブックオカは25年、地域の文化向上や活性化に貢献した団体を顕彰する「サントリー地域文化賞」を受賞した。
ブックオカの事務局を長年担当する同市の出版社「忘羊社」代表の藤村興晴さん(51)は「本が売れない時代でもキューブリックがあることで人が出入りし、本好きの人同士のつながりをつくっていった」と語る。ブックオカは今後、会場を変えて続く予定だ。
箱崎を拠点に新たな"旅"へ
開店25周年を迎えた4月にSNSなどで閉店を発表すると、「ステキな本との出会いをつくっていただいた」「けやき通りの象徴でした」などと惜しむ声が多数寄せられた。
JR箱崎駅近くにある箱崎店はカフェを併設し、作家のトークイベントや展覧会などの催しを頻繁に開いている。周辺の九州大箱崎キャンパス跡地では、大規模再開発による新たなまちづくりも計画されている。
「本には人と人をつなぐ力があることを実感した四半世紀だった。多くの人の支えで続けてこられて感謝している。箱崎では新旧の住民をつなぐ役割を担っていきたい」と大井さん。新たな世界の扉を開く旅がまた始まる。
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ブックスキューブリックでは、けやき通り店にまつわる思い出を7月20日まで募集している。寄せられた思い出は今後、ホームページやSNSなどで発信する予定という。投稿は、募集フォームから。







