塾の1階にある書店「とらきつね」って? 鳥羽和久さんに聞く ~「場」編~

鳥羽和久さん(提供:寺子屋ネット福岡)

記事 INDEX

  • 「唐人町寺子屋」の自習室から
  • 語りや音楽で心に窓がひらく
  • 人と会って話すことの効用

 大濠公園(福岡市中央区)のそば、黒門橋交差点の学習塾1階にある書店「とらきつね」。書店の奥では、音楽ライブや作家のトークショーも開かれています。まちの片隅を照らす灯のような場を営む、鳥羽和久さんにインタビューしました。


鳥羽和久さん

1976年、福岡県生まれ。文学修士(日本文学・精神分析)。株式会社寺子屋ネット福岡代表取締役、唐人町寺子屋塾長、単位制高校「航空高校唐人町」校長として小中高生の学習指導に携わる。書店「とらきつね」で主催するイベントの企画運営、独自の商品開発も行う。著書に『おやときどきこども』(ナナロク社)ほか。


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「唐人町寺子屋」の自習室から

――塾の1階にある書店って不思議だなあと。

 今は土日の13時から18時しか開けていないんですけれど、塾生や保護者だけでなく、どなたにでものぞいていただける場所です。
 


上階に鳥羽さんが運営する塾と単位制高校がある


 2階と7階は「とらきつね」の母体である「唐人町寺子屋」という学習塾です。以前は7階の「寺子屋ショップ」で塾生や保護者に文具や雑貨を販売していました。1階に自習室をつくろうという話になり、それならショップを1階に移して地域の皆さんにも来てほしいなと。7階は今、塾生が息抜きできる展望休憩室と面談室にしています。


本や雑貨が並ぶ「とらきつね」

――店名がなぞなぞみたいですね。

 特に意味はなくて。国語のテストを採点していて、「虎の威を借る狐…『とらきつね』ってよくない?」みたいな調子で決まりました。


ロゴには「ますます幸せに」というメッセージが


――店の奥に不思議な空間があります。

 塾生たちが自習室として使っていますが、土日は書棚に並ぶ古本を読んだり買ったりする場所として誰でも利用できます。


木の匂いがする自習室

 「とらきつね」は2015年にオープンしたんですが、その当時「そろそろ外の大人たちとつながらないとマズいな」っていう強い危機感が私自身にあったんですね。大学院生時代から塾を始めて14年たった頃で。毎日、子どもたちと向き合うばかりで、まともに大人と話してないし、なんか自閉してるなって。


鳥羽さんの蔵書を古本として買える

 そこで自習室の空間をいかして、トークイベントやライブを開こうと。自分が会いたい作家やアーティスト、哲学者、ミュージシャンなどに来ていただいて、塾生や保護者だけでなく、誰でも参加してもらえるよう企画しました。


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