【大分】愛されて50回! 湯布院映画祭が8月21日に開幕
第50回を迎える湯布院映画祭が8月21日、大分県由布市湯布院町で始まる。良質な日本映画を紹介し、連日のパーティーでゲストの映画関係者と観客が意見を語り合うという独自の魅力が多くの人に愛されてきた。1976年の第1回から関わる三宮康裕実行委員長(68)は「自分たちの好きな映画を選び、やりたいようにやってきた。その結果が面白かったから続いてきたのかな」と語る。
「頑張る日本映画を応援」が始まり
映画祭は湯布院町の老舗旅館「亀の井別荘」を経営する中谷健太郎さんと、自主上映グループ「大分良い映画を見る会」の若い映画ファンが意気投合して始まった。大分高専4年生だった三宮さんは映画好きの友人と同会に参加していた縁で初回の実行委に入った。
東宝の助監督を務めた経歴から、人脈がある中谷さんが初代委員長に。実動部隊の中心は三宮さんら10~20歳代の若者たち。「徹夜でパンフレットを作った。洋画がもてはやされ、『洋高邦低』と言われた時代、頑張る日本映画を応援したかった」と振り返る。
ゲストと観客の交流が魅力
映画祭の特色となるゲストと観客が直接、交流できるパーティーも連日、開かれた。未明まで語り合あった後は自宅に帰らず、テントで寝て翌朝早く会場に行く4日間だった。
その後、回を重ねるごとに映画祭に参加したゲストの「面白かった」という口コミで映画人の間に評判が広がった。三宮さんは「九州の田舎で映画だけに集中できる。シンポジウムとその後のパーティーでは酒を飲みながら関係者も観客もストレートに意見を言い合う。それが新鮮だったんだろう」と語る。
三宮さんは2012年の第37回から実行委員長となり、新型コロナ禍では規模を縮小するなどして続けた。50回を迎え、「地元の人や多くの映画人にお世話になった」と感謝。今後は「次の時代を担う若い映画人を応援する映画祭にしていきたい」と語った。
三浦友和さん特集 柄本明さんの朗読劇も
映画祭は21日午後8時から、ミュージカルコメディー「恋の大冒険」(1970年)をJR由布院駅前で野外上映する前夜祭(無料)で開幕。22日からはゆふいんラックホールを会場に、俳優・三浦友和さんを特集し、三浦さんが出演する「台風クラブ」(85年)や「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」(2011年)、「葛城事件」(16年)などを上映する。
最終日の24日は50周年スペシャルイベントとして映画祭常連の俳優、柄本明さんの朗読劇「今は昔、栄養映画館」を上演する。柄本佑さん、安藤桃子さん、奥田瑛二さんが監督した短編3作品の特別上映もある。期間中、会場ロビーで50年を振り返るパネル展も予定している。
全日券は完売。1枚で一般上映2作品などが鑑賞できる前売りの映画券(1800円)は20日まで販売する。当日券は一般上映1200円、特別上映2000円、朗読劇4000円。問い合わせは事務局(080-7987-6200)へ。