【大分】絵はがきで佐賀関の復興を!売上金全額を寄付

 11月に大規模火災に見舞われた大分市佐賀関を拠点に活動する現代美術家・Kanaさんが、被災地区を応援しようと佐賀関の風景などを描いた絵はがきを販売している。売上金は全額、被災地区に届ける。約6年前に移住し、地域でできた多くの友人が被災した。「佐賀関のことを知ってもらい、少しでも復興に役立てばうれしい」と語る。

6年前に移住→地域に溶け込む

 タコを食べずに願い事をする「蛸(たこ)断ち祈願」が全国的にも珍しい早吸日女(はやすひめ)神社や、伝統の「関の鯛つりおどり」のモデルの「関タイ」――。絵はがきには、オイルパステルのゆるいタッチで佐賀関の風物が描かれている。作品名は、周囲を一望できる大分県中津市の景勝地「一目八景」にあやかり、佐賀関の魅力を詰め込んだという意味を込めて「一目関景(ひとめせっけい)」と名付けた。


Kanaさんが佐賀関の風景などを描いた「一目関景」


 2024年にイベントのパンフレット用に描いた作品で、過去の作品を加えた絵はがき5枚セット(1000円)を、火災発生2日後から自身のウェブサイトで販売を始めた。

 Kanaさんは長崎市出身。大分県内の大学を卒業後、別府市で暮らしていた。佐賀関にある廃校になった小学校校舎をアトリエとして借りたことをきっかけに19年、今回被災したエリアから車で5分ほどの家に移り住んだ。

 高齢者らの力仕事を手伝ったり、地元の人が集まる飲食店に顔を出したりするうち、「ほとんどの住民は顔なじみ」というほど地域になじんだ。

 県漁協佐賀関支店の壁に特産品の「関サバ」や「関アジ」漁の大きな壁画を描き、佐賀関の店や観光名所を盛り込んだイラストマップも作成。漁師に普段もらう魚のお礼にと、大漁旗の制作も手がけた。

「自分にできることで応援したい」

 11月18日夜、ニュースを見た友人からの連絡で火災を知り、高齢の友人たちの顔が思い浮かんだ。「助けなきゃ」と自宅を飛び出し、近くの高台に向かうと、漁師町がオレンジ色の炎に包まれていた。「行っても力になれない」と、見守るしかなかった。


Kanaさん


 火災で友人たちの家の多くは焼け崩れたと知り、「自分にできることで応援したい」と、絵はがきの販売を決めた。

 売上金は「縛りのないお金で地区のために役立ててほしい」と、用途を決めず全額、地区に寄付する。これまでに沖縄や秋田からも注文が舞い込んだという。Kanaさんは「佐賀関が大好き。これからも寄り添い、支援していきたい」と話している。

 問い合わせはメールへ。


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