【大分】日赤ヒーロー「クロスレッド」現る! 動画で注目
日本赤十字社県支部(大分市)が、救急法や熱中症対策を紹介するヒーローを誕生させた。その名も「人道人間クロスレッド」。広報事業の一環として、支部の職員やボランティアが演じる手作りの動画をユーチューブで第4話まで公開し、視聴回数は計11万回を超えた。支部は「いざという時に役立つ知識を、楽しく身につけてほしい」としている。
救急法や救助法を伝授
「人々の命と健康、尊厳を守るヒーロー、人道人間クロスレッド!」――。主人公の赤井道人は、人道の魂が揺さぶられると、赤いユニホームとスカーフ、白いマント、ヘルメットを身につけた「人道人間クロスレッド」に変身。決めゼリフと共に登場する。
ヒーローの名前は、赤十字の基本原則の一つ「人道」と、赤十字(レッドクロス)にちなんでいる。世界征服をたくらむ「利己心大魔王」が率いる「利己心軍団」とのコミカルなやりとりを通じ、救急法や救助法などを伝える。
「あえて素人くさく」
出演者は、役者経験のない県支部職員とボランティアの計10人ほど。ユーチューブの日赤県支部の公式チャンネルで、2022~24年に「擦り傷・捻挫編」「熱中症編」「着衣泳・陸上からの救助編」「乳児の気道異物除去編」の4話を公開した。
1話あたり5~10分程度で、利己心軍団は毎回、けがや熱中症などに見舞われ、クロスレッドに助けられるというストーリーだ。
利己心軍団の1人が熱中症になる第2話では、クロスレッドが団員の体の熱さと大量の汗に気づき、仲間に救助を依頼。2人がかりで日陰に運ぶ方法や、霧吹きで体に水をかけて風を送るなどし、体を冷やす対策を紹介している。乳児の気道異物除去法を紹介した第4話は特に人気で、視聴回数は6万回を超えている。
動画制作は、子どもから大人まで救急法などに興味を持ってもらおうと、22年度に県支部の職員らが発案した。大分市内の広告会社を通じ、地元の自主映画監督、宮崎亮一さんに制作を依頼し、土日に市内にある大分川の土手や砂浜などで撮影した。
「あえて素人くささを残した」と宮崎さん。衣装は市販のパーティーグッズなどを使っている。主人公を務めた志賀章太郎さん(24年4月から県赤十字血液センター)は「ふざけるところはふざけて、救急法など大事な部分は真面目に伝えるようにした」と振り返る。
広がる反響
大分県内の保育園などから発行物に動画のQRコードを掲載したいと問い合わせがあったほか、愛知県の県立高校からも活用したいと連絡を受けた。大分県内の小学校からは着衣泳の講習依頼が相次いでいるという。
25年度は尺が短いショート動画も制作予定で、県支部の安達真太朗・事業推進係長は「いつ、自分や家族が事故や体調不良に遭遇するか分からない。知識があれば助かる命もあるので、動画をきっかけに実際の講習も受講してほしい」と呼びかけている。