記事 INDEX
- 学生中心のクリエイター集団
- 「Z」の思考で地域課題を解決
- 同じ思いの集合体を各地に!
九州大学発のベンチャー企業「23(トゥースリー)」が活動の場を広げています。現役学生を中心とする25歳以下のクリエイター約40人が所属し、ウェブや動画などのコンテンツ制作からマーケティング、まちづくり支援まで。本社を置く創業支援施設「Fukuoka Growth Next」(福岡市中央区)を訪ね、代表取締役の清水淳史さんに話を聞きました。
学生中心のクリエイター集団
クリエイティブ分野の専門的な知識と、学生が持つネットワークを生かし、地域の課題解決や人材のマッチングに取り組んでいる「23」。清水さんも九州大の芸術工学部に在籍する4年生で、ドローンを飛ばすことができる空域を広げる「sora:share(ソラシェア)」のビジネスモデルを掲げ、東京で会社運営に携わった経験もあります。
これまでの経験から、福岡のクリエイティブ市場はまだまだ伸びると考えた清水さん。一方で、知識を持って就職した人材がそれを生かせる職場にたどり着くまでには時間がかかるとも感じていました。自身の周りには、開発やデザイン、映像の高度なスキルを身につけた学生が多く、一緒に夢を追える仲間と会社を起こすことにしたといいます。
「Z」の思考で地域課題を解決
2020年9月の創業後、観光で地域活性化を図るため九州電力が整備を進めている情報プラットフォーム「reQreate(レクリエイト)」でのオンラインツアー動画の制作や、「LINE Fukuoka」のメディア「Smart City TV」での動画制作、佐賀県のまちづくり会社「いきいき唐津」との学生向けオンラインセミナーなどで実績を重ねてきました。
清水さんは「東京にもたくさん仕事はありますが、住んでいる街の課題だと、より自分に関わる事柄として積極的に考えることができるんです」と、地域の課題に取り組む意義を語ります。
そして、この若い会社を象徴する一つのキーワードが「Z世代」です。1996年以降に生まれた世代を指し、「生活でデジタルを活用することが当たり前」「多様性を受け入れる」「個人の価値観を大切にする」といった特徴があるといわれます。
生まれたときからデジタル機器が身の回りにあふれ、デジタル時代を生きてきたZ世代。彼らにとって、何をするにも「デジタル『で』」と思考を切り替える必要はなく、継ぎ目のない発想ができることが事業の強みになっています。
とは言っても「単にスキルだけでは、既存の企業に勝てない」と、フットワークの軽さや、きめ細かなキャッチアップ、提案のスピード感を大切にしているそうです。
同じ思いの集合体を各地に!
コンパクトシティといわれる福岡は、人とのつながり、情報を連鎖的に得られると分析する清水さん。「将来は福岡を経営本部として、同じ思いの集合体を全国各地につくっていきたいです」と話します。
コロナ禍で大きく変わった社会の常識も、柔軟に生活に取り入れ、糧にしていくZ世代。福岡から全国に広がっていく若いエネルギーに今後も注目です。