自由な発想で可能性にチャレンジ! 九州産業大で学生たちがカフェを運営
記事 INDEX
- 学生に起業の経験を!
- メニューはTシャツに
- 気軽に来てもらえる店に
九州産業大学(福岡市東区)に、学生が運営するカフェ「in.out」(インドットアウト)がオープンしました。起業を志す学生たちが切り盛りするカフェは、自由で若い発想がたくさん。地域に愛される店を目指し、日々チャレンジを続けています。
学生に起業の経験を!
「in.out」はJR九産大前駅に近い大学北門の「オープンイノベーションセンター」にあります。センターは、起業家教育を進める大学が学食も入っていた施設を改修して2020年7月に開設し、学生の相談、企業との連携窓口として機能しています。
施設にはパン焼き器など学食の設備が残っていたことから、これらを活用して学生に起業を経験してもらうことに。センター長の木村隆之さんらがメンバーを募り、応募した4人の学生を中心にカフェを開業する運びになりました。
メンバーは2020年12月頃から木村さんのアドバイスを受けながら、コンセプトやデザインの考案、会社の定款作成や登記などに取り組みました。
「障害を持つ人と学生が共同して運営し、障害者の社会復帰と多様性社会の新たな可能性について考える機会を提供する」というコンセプトが固まると、障害者就労支援事業を展開する「カムラック」(福岡市博多区)と「else if」(同)の支援を受けることも決まりました。
店名の「in.out」には、障害者が学生と触れ合って社会との接点を持つとともに、この店舗を中間点として社会へ出ていってもらえたらとの思いが込められています。
店舗のデザインやロゴの制作には、建築都市工学部の学生が参加。健康志向や環境への配慮などSDGs(持続可能な開発目標)に沿ったテーマも掲げ、1年近い準備期間を経て、昨年10月25日にオープンを迎えました。
メニューはTシャツに
カフェの中にはたくさんのTシャツがつるされ、その1枚1枚に店のメニューが。カフェの前を通る人の関心を引き寄せ、店頭にパンを並べずに品ぞろえを確かめてもらえるというコロナ禍への対応も両立したアイデアです。
Tシャツには、商品のコンセプトがイメージできるデザインを施し、その特徴や価格がすぐわかるように工夫されています。壁面のイラストでも、環境への負荷軽減をはじめSDGsの大切さを伝えています。
店内で毎日焼き上げるパンは11種類。優しい甘さのメロンパン(税込み100円)、ランチにぴったりな塩パン(同120円)などがおすすめで、どれもリーズナブルな価格で提供しています。
ドリンクも充実しています。高校生のときから高齢者施設や幼稚園でコーヒーをいれるボランティア活動をしていたという店舗リーダーの江副雅文さん(商学部3年)によるコーヒーはこだわりの一品。スペシャリティコーヒー(税込み400円)を注文すれば、江副さんが客の好みにあわせた1杯を作ってくれます。
開発途上国から適正な価格で仕入れたフェアトレード認証の豆を使い、カップはプラスチックフリーのものを採用するなどSDGsの実践にも力を入れています。
気軽に来てもらえる店に
オープン以降、リピート客や口コミで訪れる人も増えてきましたが、目標の客数には届いていないそうです。起業メンバーの一人、江島圭祐さん(商学部3年)は「まだ努力が足りないところがたくさんある」と、改善点を懸命に探っています。
指導する木村さんは「カフェ経営を通じて、いろいろなところにアンテナを張り、いろいろな大人に会うことができます。生き方が多様化する今、こうした経験は今後の人生にとって非常に価値があると思います」と、学生の奮闘を見守っています。
現在は江副さんと江島さんを中心に、アルバイトの学生も交えてカフェを運営しています。近く障害者の就労支援の取り組みもスタートさせ、コーヒー豆の選別作業から担ってもらう予定だということです。
江副さんは「地域の人に気軽に来てもらえる店にしたい。そして地域の人や学生に、障害者のことやフェアトレードのことを知ってもらえたら」と話しています。
店名 | in.out |
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所在地 | 福岡市東区松香台2-3-1 九州産業大学「オープンイノベーションセンター」内 |
定休日 | 土日・祝日 |
営業時間 | 8:00~17:30(ラストオーダーは17:00) |