
宗像市の沖合でとれたアカモク(マサエイ水産加工提供)
福岡県宗像市沖で収穫される海藻・アカモクの魅力を発信しようと、温浴施設「照葉スパリゾート」の本店(福岡市東区)と門司店(北九州市門司区)で、アカモクを用いた食事をメニューに加え、風呂やサウナでもアカモクを楽しんでもらうイベントが4月6日まで開かれています。
アカモクを楽しもう
アカモクはヒジキやワカメの仲間で、海藻の中でも特に粘りが強く、ミネラルと食物繊維が豊富に含まれています。美容や健康の面から“スーパーフード”として、近年注目を集めている海藻です。
イベントは「あなたに伝えたいアカモクの魅力」。宗像市の食品製造販売会社・マサエイ水産加工と県リサイクル総合研究事業化センターなどがアカモクの有効利用を目指す商品「あかもく餃子(ギョーザ)」を開発したことがきっかけになりました。アカモクの認知度向上を図ろうと、同センターが施設に紹介して開催が実現しました。
照葉スパリゾート本店3階の飲食店では、餃子のほか、アカモクでとろみを足したカレーうどんなどのオリジナルメニューを用意しています。担当者は「アカモクの粘りと、シャキシャキした食感が楽しめます」と話します。一方、門司店ではアカモクを加えた山芋鉄板焼き、ネバネバサラダなどを提供しています。
販売コーナーには、缶を開封してご飯にかけるとアカモク丼ができあがる商品「缶べえ」、冷凍アカモクなどが並んでいます。
施設では期間中、アカモクを浮かべた風呂、アカモクの粉末を混ぜた塩サウナ(本店のみ)なども楽しめます。
新たな海の幸に注目
「ネバネバが好きな人ならはまってしまうはずです」と、マサエイ水産加工の社長で、海士(あま)漁師の正好輝旭さんは話します。
正好さんによると、アカモクは長さ2~10メートルほどで、国内の浅瀬に広く分布しますが、食用として注目されるようになったのはつい最近のことだといいます。船のスクリューに絡まってエンジンを壊したり、座礁させたりすることもあり、正好さんは「邪魔物扱いで、刈り取っても捨てていました」と振り返ります。
そんな正好さんがアカモクをとり始めたのは6~7年前。漁業が低迷する中で父から海士漁を継ぎ、「これまで見向きもしなかったものが新たな収入源になるのでは」と考え、仲間にアカモクの収穫を提案したそうです。
宗像市でアカモクがとれるのは、鐘崎から地島までの海域。このエリアは比較的浅く、潮が速くて海中のごみが少ないため、きれいな状態で収穫できるとのことです。鐘崎産は特に粘りが強く、下ゆですると鮮やかな緑色になるそうです。
風味は生ノリに近く、臭みもないため食べやすいといいます。正好さんは「めんつゆやポン酢をかけて食べるのがおすすめ。みそ汁に入れたり、パスタに絡めたりしても絶品です。地元の新たな海の恵みを多くの人に知ってほしい」と話します。