食塩の適正摂取を呼びかける福岡県のプロジェクト「TRY!スマソる?」の一環で、産学官が連携して甘口減塩しょうゆの開発に取り組んでいる。県内のしょうゆ事業者数は約100社で全国一を誇る。商品化する味とラベルデザインが決まり、来年2月頃から発売する予定だ。
2026年2月頃発売へ
県民1人当たりの1日の食塩摂取量は、2016年の国の調査で男性が11.7グラム、女性が9.5グラム。県の目標値の7グラムを上回り、それぞれ都道府県別で4番目、8番目に多かった。塩分を取り過ぎると高血圧になり、脳梗塞(こうそく)や胃がん、腎臓病などを患うリスクが高まるとされ、県は23年度から、減塩レシピのコンテストや料理教室などを開いている。
県醤油(しょうゆ)工業協同組合(89社)が「若者の意見を取り入れ、甘口を守りながら、減塩で健康に配慮した商品をつくりたい」と県に持ちかけた。8月から栄養学やデザインを専門とする県内の大学や専門学校の学生約30人と計画を進めてきた。
筑紫野市で11月上旬に商品化を決める選抜会があり、学生らの提案を踏まえ、組合の若手が甘さの程度が異なる3種類を用意した。通常は15%程度の塩分を9%ほどに抑え、カツオとイリコの出汁(だし)やクエン酸で物足りなさを感じにくくしたという。
甘みとうまみが調和
会場には服部誠太郎知事も訪れ、学生や生産者ら計46人が投票し、甘みとうまみが調和した中間の味が選ばれた。デザインは五つの候補から、温かみのあるピンクをベースにした案や、県花の梅や明太子、ラーメンなどのイラストを描いた案など上位三つが採用された。
デザインの一つを考えた福岡デザイン専門学校3年の井上遥さんは「食卓にあったら華やぐような色合いにした。手にとり、買い続けてもらえたらうれしい」と話した。しょうゆの開発に携わった同組合課長の熊抱貴士さんは「甘みとうまみをしっかり感じられ、品質にも自信がある。商品を目当てに店舗に足を運んでほしい」と語った。







