「脱・お堅い」で働きやすく! 福岡県警の服装もカジュアル化

モデルとしてカジュアルな服装を披露した福岡県警の警察官ら

 警察がカジュアルな服装での勤務を通年で認める動きが広がっている。働き方改革の一環として、市民の信頼を損ねない範囲で装いの自由度を高め、職員の士気や業務効率を向上させるためだ。人材確保に頭を悩ます県警も少なくなく、「警察=お堅い、厳しい」というイメージを変え、採用希望者の増加につなげる狙いもある。

(河津佑哉、徳永真子)

専門家セミナー

 チェック柄のジャケットにポケットチーフを挿し、茶色のズボン姿の男性、白色のタートルネックや落ち着いた色味のパンツ、スニーカーを合わせた女性。20~50歳代のモデル7人がさっそうと"ランウェー"を歩いた。

 まるでファッションショーのようなイベントは、福岡県警本部で11月中旬に開かれた働きやすい服装「オフィスカジュアル」を学ぶセミナーの一幕だ。福岡市内のビジネスウェア専門店のスタッフが警察官ら約130人を前に、「3色以内でコーディネート」「過度な露出を避ける」「トップスに襟、ボトムスに折り目」などと基本的な注意点を説明。気軽な感じの装いでも清潔感や相手からの信頼感を保つコツなどを解説した。


カジュアルな服装のポイントを解説するビジネスウェア専門店のスタッフ(手前右)

 警察庁は4月、夏場の制服にポロシャツを導入するなど改正した規則を施行。こうした動きを受け、同県警は10月、交番や交通取り締まりなどにあたる制服警察官のネクタイ着用を通年で不要とした。また、公務員として節度ある服装を呼びかけた上で、県警本部での内勤や刑事など、日頃はスーツを着用していた部門の警察官や職員について、通年でポロシャツやセーター、ニット、スニーカーでの勤務を認めた。

 セミナーでモデルを務めた県警警務課の平田恵三・統括管理官は「実際にオフィスカジュアルで仕事をしてみたが、肩の力が抜け、部下とのコミュニケーションも良くなった印象だ。これまでと違う格好で働くことによって気持ちが高まり、モチベーションが上がる」と笑顔で話す。

若者にアピール

 カジュアルな服装への切り替えは広がっており、今春以降、石川、富山、福島、山梨などの県警が導入。4月に取り入れた福井県警では、職員から「ネクタイの有無で働きやすさが全く違う」「屋外での活動が多いため軽装は助かる」と好評で、県民からの苦情もないという。

 若者向けに職場のイメージアップをPRする目的もある。警察庁によると、2010年度の警察官採用試験の受験者数は全国で13万人を超えていたが、24年度は約4万3000人と3分の1に落ち込んだ。


「ポリスカジュアル」の取り組みを紹介する長崎県警の職員


 25年度の受験者数が5年前から約半数に減った長崎県警は12月8日、「ポリスカジュアル」と銘打ち、制服を着ない警察官や職員にセーターやチノパンの着用を解禁。9月には短髪を基本としていた警察学校の校則を一部見直し、側頭部を短く刈り上げる「ツーブロック」を認め、女性の長い髪も結んで訓練に支障が出ない範囲であれば容認している。


 同県警警務課の東真偉(まさよし)・企画室長は「自由度を高め、警察が時代に即して変化する柔軟な組織だと思ってもらうことで受験する動機付けになれば」と期待を寄せる。


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