大型車両の運転は任せて! 退官自衛官に運輸業界が熱い視線

体験会でバスを運転する自衛官
退官を控える自衛官に、運転手不足が深刻化する運輸業界の担い手になってもらおうと、九州運輸局福岡運輸支局と自衛隊福岡地方協力本部は10月7日、福岡県飯塚市の陸上自衛隊飯塚駐屯地で再就職に向けた合同説明会と運転体験会を開催した。「即戦力」となる自衛官とのマッチングを目指し、運輸業界は熱い視線を注いでいる。
運転手不足が深刻に
運輸業界では、2024年度からトラック運転手らの時間外労働に上限が設けられた。九州運輸局によると、物流面では輸送力が不足する「2024年問題」で対策を取らなければ、全国で30年度、輸送力が34%不足すると懸念されている。
バス運転手の不足も深刻で、九州では23年度、19年度比で約1割減の7598人、福岡でも約300人減の3364人まで落ち込んだ。過疎地を中心に路線の廃止や減便も相次ぐ。
豊かな経験で即戦力
説明会には、バス、タクシー、トラックなど各業界団体や県内の事業者10社、同駐屯地や福岡駐屯地(春日市)の自衛官27人が参加。業界の現状、業務内容、福利厚生制度などの説明を受け、自衛官たちが実際にバスやトラックを運転した。
多くの自衛官は、資材運搬や隊員輸送などのために大型免許を所持している。一般企業より若い55~58歳で定年退官を迎えるため、再就職の要望も強いという。
27年6月に定年を控える飯塚駐屯地の伊藤豊陸曹長(54)は「運転も好きなので、運輸業界での再就職を考えている。経験を生かすことができれば」と話した。
福岡運輸支局の川野一代首席運輸企画専門官は「労働力不足は深刻で、地域にも影響を及ぼしており、自衛官の豊富な経験、技能は大きな助けになる。再就職先の選択肢になるよう、業界の認知度をさらに広めていきたい」と意気込んだ。