【大分】「みどり牛乳」と奏でる地域愛 ストラップの柄に

 九州乳業(大分市)が生産する「みどり牛乳」のパッケージを、ギターを肩からつるすストラップにデザインした商品が、楽器販売大手「島村楽器」(東京)から売り出された。「大分・九州を盛り上げたい」と両社が連携した企画で、先行販売した大分では9月、3日間で売り切れ、入荷待ちとなった。企画した島村楽器の担当者は「面白さや、本物を忠実に再現したリアルさが購入者の心に響いたのでは」と話している。

3日で完売 全国から注文

 「わずか3日で売り切れるなんて」


ギターストラップを紹介する竿尾さん


 先行販売した島村楽器パークプレイス大分店(大分市)の店長、竿尾(さおお)圭祐さんは9月19日、こう驚いた。同17日に発売し、同19日午前には売り切れた(用意した数は非公表)。島村楽器と九州乳業の両社はSNSでの発信などを行ったが、目立った宣伝はしておらず、1か月くらいで客に浸透できればと思っていたという。


 ところが、同店では「かわいい」「緑の色味がいい」「ご当地だからバンドで演奏する時に付けたい」といった声が寄せられた。また、同店のオンラインショップにも全国から注文が相次いだ。

大分出身者が企画

 島村楽器は、その土地で愛されている商品などとのコラボを通じ、「地域をもっと元気にしたい、音楽や楽器に親しんでもらうきっかけをつくりたい」と商品の企画をしてきた。

 今回企画したのは、島村楽器アミュプラザ博多店(福岡市)の佐々木崇さん。これまでも、即席麺製造の「マルタイ」(福岡市)が生産する「マルタイラーメン」のパッケージ柄や、JR九州(同)の車両をデザインしたギターストラップを担当してきた。

 佐々木さんは大分市出身。小中学校時代は紙パックのみどり牛乳とともに給食を食べ、大分県内の温泉に出かければ湯上がりに瓶入りを飲んで育った。小学生時代に工場見学をした思い出もあった。2025年2月、九州乳業に製作を提案すると意気投合。とんとん拍子に話がまとまった。

リアルさと遊び心


みどり牛乳をモチーフにしたギターストラップ(中央)やストラップラバー(左下)、ピック(ギターの弦の上)


 ストラップはナイロンの下地に牛乳パック柄の布生地を縫い合わせた。本来のパックに記されている「要冷蔵10℃以下」は「ベルト幅50mm」に、容量の「1000ml」はストラップの長さの「820―1450mm」に変えるなど、遊び心も加えた。


 九州乳業マーケティング部の吉冨寿志さんによると、みどり牛乳は九州北部に出荷しており、県内では給食にも提供されている。吉冨さんは「パンに自社の牛乳を使ってもらう、といったコラボはあったが、楽器は初めて。売れるのか心配だった」と振り返るが、今では「県ゆかりのミュージシャンに使ってもらえれば、九州外にもアピールできるのでは」と夢を語る。

 佐々木さんは「県では小さい頃から親しみがあり、生活に浸透しているみどり牛乳の味や品質に対する信頼が、人気につながったのでは」と話している。

 ギターストラップは4950円。ストラップのほか、瓶牛乳のふたをモチーフにした、ストラップからギターが外れるのを防ぐストラップラバー(880円)、パッケージロゴをデザインしたギターピック(220円)も製作した。大分、福岡県内の島村楽器で今後、順次発売する予定。


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