【山口】初代岩国領主・吉川広家の活躍を漫画で紹介

 戦国大名の毛利元就の孫で初代岩国領主の吉川(きっかわ)広家(1561~1625年)を紹介する漫画本「吉川広家伝」を、山口県岩国市立博物館の岩国徴古館が発行した。関ヶ原の戦い(1600年)での交渉で毛利家を守った知略に加え、父から受けた薫陶や武人としての活躍にも言及。没後400年の節目に、岩国の礎を築いた武将の人物像を多面的に捉えている。

没後400年、人物像捉える


吉川広家の生涯を紹介した漫画本(左)。右は吉川経家の本

 本では、広家が父の元春から「要所を守り抜き、味方を陰から勝利に導くのも武士の務めだ」との教えを受けたことを紹介。17歳のときに夜襲で攻めた城を落とし、豊臣秀吉による朝鮮出兵で武功を立てたことなども説明した。

 関ヶ原の戦いでは、西軍の総大将を務めた毛利家を守るため、敵側の徳川方と事前に交渉した末、軍を動かさずに参戦しなかった。関ヶ原の戦いの後、毛利家は周防・長門(現在の山口県)が領土として安堵(あんど)された。広家自身は毛利家から岩国・柳井の3万石(後に6万石)を拝領し、岩国城をつくった。本では「広家が命がけで守った毛利家は明治維新の中心となり、近代日本の誕生に貢献した」と結んでいる。


毛利家を守るために徳川家との交渉を決意する広家を描いたページ

 同館の松岡智訓副館長(50)は「武人として優れていた広家だが、交渉役として毛利家存続のために力を尽くしたことを改めて知ってほしい」と話している。

 A4判、33ページ。岩国ゆかりの人物を紹介する岩国徴古館の「マンガ岩国人物伝」シリーズの第6弾。秀吉による鳥取城の兵糧攻めに敗れ、城兵の助命のため自刃した城主・吉川経家を紹介する第5弾の本とともに、それぞれ2000部を刊行した。岩国徴古館で200円で販売している。

 同館では12月14日まで企画展「吉川広家・経家の生きた時代」を開催中。入館無料。問い合わせは岩国徴古館(0827-41-0452)へ。


advertisement