屋台で街をにぎやかにしてほしか! 福岡市が営業者を公募中
記事 INDEX
- 先輩が「楽しい!」
- 長浜は“街”が復活
- メニューも多彩に
福岡市の夜の観光資源となっている屋台について、市が7月26日まで、新たに参入する営業者を公募しています。8月に始まる選考を経て、12月に新規参入の顔ぶれが決まり、2025年春からの営業を目指します。市の担当者は「公募でバラエティーあふれる屋台が次々に登場しています。今回もぜひ多くの方に応募していただき、新しい風を吹かせてほしい」と挑戦を呼びかけています。
先輩が「楽しい!」
「屋台は『モテる』。注目を浴びるし、福岡県外の人からも必要とされていると感じる。観光業でもあるし、地域貢献もできる」「想像の3倍、大変だが、人を喜ばせることが好きな人には楽しい」――。
6月下旬、福岡市中央区の創業支援施設「フクオカ グロース ネクスト」で開かれた屋台の公募に関する説明会。”先輩”として登壇した店主2人が、会場を訪れた約20人を前に屋台営業のやりがいや大変さを語りました。
2人は、前回の公募を経て23年、屋台店主に。軽トラックの購入や屋台の設備導入など初期投資に200万~350万円かかったことや、雨の日の営業はどうするのか、1日の過ごし方は、といったことを体験談を交えながら多面的に伝えました。
このうち、長浜エリアで「屋台のたまちゃん」を営む鳥巣(とす)大介さん(45)は「県外や海外からの観光客は雨が降っても来店し、獲得できるかどうかは大きい。付近のイベントなどをこまめにチェックすることも大事」などと紹介。「屋台営業は総じて楽しい。長浜では80歳代の店主も現役で、負けていられない」とし、参加者に「一緒に福岡を盛り上げていきたい」と公募へのチャレンジを呼びかけました。
説明会に参加した福岡市内の30歳代の自営業男性は「来店客らが肩を並べて交流できるのが屋台の魅力。飲食店の経験はないけれど、先輩たちの話を聞いてやはりひかれるものがある」と意欲をにじませました。
長浜は“街”が復活
福岡市によると、屋台営業者の公募は2016年度に初めて実施し、今回で5回目となります。
公募制度は、13年の市屋台基本条例で盛り込まれました。かつて市内で400軒以上あったという屋台が、警察の規制強化や営業者の高齢化による廃業などで減る中、市は「観光資源」として市民にも観光客にも親しまれるよう、電気や上下水道の整備などを行う一方、新規参入を可能とする取り組みを進めてきました。
17年度は初めての公募で選ばれた23人が営業を開始。続く3回の公募でも計27人が参入しました。公募の導入により、市内の屋台の総数は近年、100軒前後の水準を維持しており、減少傾向に一定の歯止めがかかった形となっています。
前回の公募により、長浜エリアでは23年夏、7軒が新規オープンして、“長浜屋台街”が復活。市もPRに注力し、新たなにぎわいが生まれています。
メニューも多彩に
屋台の定番料理といえば、ラーメンやおでん、焼き鳥などが知られています。
近年は、公募を経て「明太子専門」や「本格中華」「フランス料理」「カフェ風」といったユニークな料理で勝負する店も登場。福岡市観光情報サイト「よかなび」で多彩なラインアップを見ることができます。
福岡市はホームページにも募集要項などを掲載。担当者は「屋台は昔から『食のスタートアップ』としても機能してきました。屋台で福岡の街を盛り上げたい、という意欲のある挑戦者をお待ちしています」と話しています。