変貌する天神で「FIND THE DOOR」 福ビル跡に鮮やかなアートが出現
再開発が進む街をアートで楽しく――。「ビッグバン」で変貌(へんぼう)する福岡市・天神のど真ん中、福岡ビル跡で行われているビル建て替え工事現場を囲む広い壁面をキャンバスに、若手アーティストが作品を描きました。真っ白な仮囲いがオレンジや緑で彩られ、通行人らの目を引いています。
作品のタイトルは「FIND THE DOOR」。工事現場の明治通り沿いに並ぶ4点で構成され、高さはそれぞれ2.7メートル、幅は5.4~6.0メートルです。
手がけたのは、神奈川県生まれのアーティスト、Keeenue(キーニュ)さん。天神の街を歩いてみて「いろんなコミュニティーやカルチャーが集まっていて、たくさんのまだ見ぬ出会いが生まれそう」と感じ、"新たな出会い"から発想して「扉」をテーマに創作しました。
壁面アートは作品をシールにしてから貼る手法もありますが、「手描きでしか出せない力を絵に込めたい」と、5月10日から17日まで現地で絵筆を握りました。時折、ファンらに声をかけられながら制作を進めたKeeenueさんは「アートに興味がない人の目にも触れて、新しい視点や気づきのきっかけになればうれしい」と話します。
今回の企画は、建設系コンサルタントの山下PMC(東京)などによる社会貢献事業「108 ART PROJECT」の一環です。プロジェクトの提案を受けた福岡市のまちづくり団体「We Love 天神協議会」が「にぎわいづくりにつなげたい」と応じました。
作品の掲出は1年間の予定。協議会の荒牧正道事務局長は「工事中は白い囲いによって、街がどうしても無機質な印象になりがち。質の高いアートを楽しんでもらい、将来の天神への期待感を高めていきたい」と話します。
108 ART PROJECTは大阪府で昨年スタートし、今回は全国で6件目、福岡県内では2件目です。県内1件目は、JR博多駅前(福岡市博多区)の地下鉄工事の仮囲いにある男性アーティストの作品で、今年4月から街に彩りを添えています。
(写真・大野博昭)