すべて木彫りです 福岡市科学館で「キボリノコンノ展」開催中

「食べたい!」と思わせる木彫りアートの世界が広がる
記事 INDEX
- 本物そっくりの質感
- 見て撮って楽しもう
- 木彫り?ホンモノ?
ふわふわ生地のカステラや食パン、新鮮な生卵……、これらすべてが木でできています――。おいしそうな食べ物の造形を、木材で再現するアーティストの作品展「キボリノコンノ展」が、福岡市科学館(中央区六本松)で11月9日まで開かれています。
本物そっくりの質感
イベントは、SNSなどで話題の木彫りアーティスト・キボリノコンノさんの巡回展。会場には木製のシフォンケーキや大福、ナッツ、納豆など、食欲をそそる作品の数々が並んでいます。
家具メーカーにデザイナーとして勤めたあと、公務員に転じたコンノさん。コロナ禍の2021年、「家の中でできる趣味を楽しもう」と、好きだった木工作品の制作に改めて向き合うようになりました。
このとき挑戦したのが、ふと目に留まったコーヒー豆でした。色や質感をじっくり観察し、彫刻刀などを使って本物そっくりの豆を完成させました。
さっそく、その写真をSNSにアップすると、「どうみても本物!」と反応が返ってきたそうです。仕事の合間を縫って、木彫りの世界にのめり込みました。
23年3月、公務員を辞め、木彫りアーティストとして本格的に活動を始めます。
見て撮って楽しもう
作品展はコンノさんの作品を「見る」、カメラで「撮る」、手で「触る」、本物の食べ物の中に隠れた作品を「探す」といった体験型の展示となっています。
会場に並ぶのは、のこぎりや彫刻刀、紙やすり、絵の具などで作った本物そっくりのものばかり。作品「カステラになりたい木の気持ち」は、細長い角材が「カステラの形に似ている」との着想から生まれました。来場者はスポンジのように柔らかそうな作品に顔を近づけ、「どうやって作ったのだろう?」とくぎ付けになっていました。
ほかにも、かんなくずをカツオ節に見立てた「たこ焼き」、生卵の質感に挑んだ「たまごの木身」、暑さでベトベトになった「溶けすぎたアイスクリーム」などの作品を紹介しています。
スマートフォンで作品を撮影すると、"ホンモノ感"がより際立ちます。
木製の三つ葉のパーツがおわんに入った「お吸い物」は、正面から撮ると、すまし汁の表面の反射や湯気までがリアルに写り込むよう計算されています。"透明"をテーマに挑戦した「溶けかけの氷」は、木の表面にニスを塗って光沢感を再現しました。フィルムが透けて見える「味付けのり」なども展示されています。
木彫り?ホンモノ?
触って楽しむコーナーには、木彫りの食パンや餅、シュークリームなどが並んでいます。つい、フワフワした触感を予想してしまいますが、手に取ってみると木材の硬さと重みが伝わります。
ほかにも、100匹のニボシの中から木彫りのものを見つけたり、本物のナッツや菓子と木彫り作品を見比べたりするコーナーなどがあります。親子やカップルらが夢中になって"ニセモノ"を探していました。
コンノさんは、作品を見た人が「あっと驚くもの」をテーマに制作に取り組んでいるそうです。会場は、時間を忘れて「おいしそうな見え方」や「よりリアルに見える角度」を探す大勢の人でにぎわっています。
特別展「キボリノコンノ展」
期間:2025年9月13日(土)~11月9日(日) ※火曜休館
時間:9:30~18:00 ※入場は17:30まで
場所:福岡市科学館 3階企画展示室(福岡市中央区六本松4-2-1)
料金:一般1300円/小中学生 600円/未就学児無料