「チリモン」を探せ! 虫眼鏡とピンセットを手に子どもも大人もみんな夢中に

小さな小さなちりめんモンスター。虫眼鏡の中央にはタツノオトシゴの姿も

 「やったー! タツノオトシゴ、見つけたよ」――。福岡市西区今津の福岡県水産海洋技術センター水産資料館で、虫眼鏡を片手に「ちりめんモンスター」を探すイベントが、夏休みの自由研究などで訪れる子どもやデイサービスのお年寄りらに人気だ。


虫眼鏡とピンセットを手に、真剣にチリモンを探す

 ちりめんじゃこは主にイワシの稚魚をゆでて干したもの。捕獲時に、他の魚やカニの子どもなどが混じり、乾燥させたものを虫眼鏡でのぞくと、まるでモンスターのように不思議な形の生き物に見える。そこから、ちりめんに隠れたモンスター、略して「チリモン」と呼ばれるようになった。


わずか数ミリのタコの赤ちゃん

 チリモンは、瀬戸内海でとれた生き物たちという。商品のちりめんは、塩ゆで、乾燥と加工が進むにつれて、異物が取り除かれていくため、業者を通じて特別に、選別前のものを資料館が購入している。


チリモンを探すお年寄りたち

 チリモンの大きさは数ミリ~数センチ。アジやフグ、イカやタコ、カニの幼生のほか、運がよければタツノオトシゴを見つけることもできるという。容器に盛られた、大きさも色も様々な数百匹の中から、虫眼鏡を手にピンセットで探し出し、図鑑も見ながらチリモンの正体を突き止める。


形も色も個性豊か

 同市西区から祖母らと訪れ、タツノオトシゴを見つけた小学2年の女児は「形が面白いものを見つけるのは楽しい。ワクワクします」と笑顔を見せた。

 中には1時間以上、夢中になってチリモンを探す児童も。「帰ろう」「もう少しだけ」と、親子の駆け引きも繰り広げられるそうだ。


「子どもに戻った感じですね」。チリモン探しに夢中の江川さん

 同市城南区から初めて訪れたという江川恭子さん(80)は「チリモンを前に座ったら最後、動けなくなるくらいに夢中になりました」と楽しそうに話した。


海沿いにある福岡県水産海洋技術センター水産資料館

 資料館の佐藤博之さん(51)は「海に生きる赤ちゃんたちを見る機会は少ないはず。様々な生物に触れ、海や漁業に関心を持ってもらえれば」と期待している。

 チリモン探しは同館で無料で体験できる。開館は、月曜を除く9時30分から17時まで。夏休みも残りわずか。駆け込みの自由研究にいかがだろうか。



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