若松特産トマトの醸造酒 北九大の学生グループが開発
北九州市立大の学生グループ「新風食研」が、同市若松区特産のトマトを使った醸造酒「若松の赭(そほ)」を開発した。学生たちは同市の北橋健治市長を表敬訪問し、代表の飛田幸祐さんが「北九州市の新たな名物として飲食業など地元の活性化につなげられるように頑張りたい」と意気込みを語った。
その名も「若松の赭」
同グループは、郷土料理「ぬか炊き」など同市に根付く発酵文化を生かした名物を新たに開発して地域を盛り上げようと、若松区の同大キャンパスで微生物について学ぶ学生らが中心となって2019年に結成。地元産の野菜の酵母を用いたパンなどを試作してきた。
さらに、若松区産のトマトを使った酒造りを企画。規格外などの理由で出荷できないものを使い、学内の研究室で試験醸造ができるよう酒類製造免許も取得した。研究費や製造費はクラウドファンディングで募った。
昨年4月に試験醸造を開始。果汁を搾り出す「圧搾」を様々な方法で試し、酵母も種類や醸造時間を変えて約60通りの製法を試みた。失敗するたびに酵母に関する論文をひもといて最良の方法を探し、同6月に完成した。
色は透き通った黄金色で、味は白ワインに近く、トマトのほんのりとした香りやまろやかな酸味が特徴。商品名は、トマトのように黄色みを帯びた赤を表す日本の伝統色「赭」にちなんだという。
北九州の新たな名物に
今回は、今年収穫したトマトを使って5月末から醸造を開始。10月3日から同市小倉北区の居酒屋「炉端のくろ兵衛」でボトル48本分のグラス販売を始めたほか、同23日に若松区などで開催される「若戸大橋ウォーキング」の会場でボトル販売を行う。
9月29日の市長表敬では、飛田さんらメンバー6人が訪れ、北橋市長に「若松の赭」を贈った。試飲した北橋市長は「飲み心地が良くてほんのり懐かしさも感じる。おいしくてたくさん飲んでしまう」と味に太鼓判を押した。
飛田さんは「開発に2年近くかかり、ようやく販売を迎えることができた。一人でも多くの人に飲んでもらい、感想を聞いて来年以降の酒造りに生かしたい」と話した。