自治体がサポート!北九州の事業承継マッチングサイトが登場

事業承継マッチングサイト「relay the local 北九州」のトップ画面

記事 INDEX

  • 譲りたい人、継ぎたい人
  • 熱い思いを知ってほしい
  • 情報求む!「残したい店」

 北九州市は、後継者を求めている市内の事業者と、引き継ぎを希望する個人・法人をつなぐマッチングサイトを開設しました。現経営者らの思いや歴史などを紹介する記事で店や会社の”価値”を伝え、記事に共感した後継者候補への橋渡しを進めます。

譲りたい人、継ぎたい人

 サイトは8月23日に開設した「relay the local 北九州」です。全国でマッチングサイトを通じた事業承継に取り組む「ライトライト」(宮崎市)と連携し、北九州市に特化したサイトを設け、後継者問題などに悩む地元事業者を支援することにしました。


インターネット上で後継ぎを公募する仕組み(サイトより)

 北九州市で長く愛されている店や会社の中には、規模が小さな事業者も多く、地域の高齢化が進んでいることから、「後継者不在」を理由に廃業するケースが増えているそうです。2022年度に行ったアンケートでは、後継者が「いる」との回答は25%程度だったのに対し、「いない」は約40%にのぼりました。


サイトをPRするチラシ


 同市はこれまで、セミナーや相談窓口などで後継者問題に対応してきましたが、実効性を高めるため、サイト運営で実績のあるライトライトと手を携えることに。当事者同士のマッチングから契約まで事業譲渡を具体化させていくハードルは高く、「取り組みを一歩進めたかった」と市中小企業振興課の坂上秀之係長は話します。


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熱い思いを知ってほしい

 サイトは、経営者の思いや人柄をストーリー仕立てで紹介し、その理念に共感してくれた後継ぎ候補と引き合わせます。「数字だけでは語れない、アナログな部分にも関心を持ってほしい」と坂上さん。「事業承継」といっても様々なパターンやニーズがあるといいます。

 例えば、若松区のラーメン店主は「店の味を残してほしい」と、事業譲渡後もアルバイトの立場で調理法を指導する”アフターサービス”を保証。小倉北区のすし店は将来の事業譲渡を前提とした採用だったり、同区の理容室の場合はオーナーのカット・トリートメント技術の伝承だったり。坂上さんは「店主らの思いを丁寧に伝え、マッチングできるようにしたい」と語ります。


サイトに掲載されている記事の一部

 サイトを見て興味を持った個人や法人は、専用フォームなどから応募できます。ライトライトの担当者や市の職員らが仲介し、ヒアリングや面談などを経て双方が合意すれば事業承継が成立します。サイトでは、移住・定住やUIターンの促進といった北九州市のサポート制度も紹介しています。

情報求む!「残したい店」

 サイト開設に合わせて、「後世に残したい店」を募集するキャンペーンも始めました。地元の店を“まちの財産”として次世代に引き継ぐ試みです。その店の味、ものづくりについて、10月31日まで情報提供を求めています。

 応募は、X(旧ツイッター)で「#北九州市後世に残したい店」のハッシュタグをつけて投稿するか、専用フォームから。情報を提供した人の中から抽選で100人にギフトカードが当たります。


「後世に残したい店」を10月末まで募集

 寄せられた情報を基に、坂上さんらが店を訪問するなどして、後継者の有無を尋ねたり、マッチングサイトを案内したりするそうです。「自分の代でたたもう」と考えている店主もいるかもしれませんが、坂上さんは「お客さんにとって思い出の味であり、地元の財産。担い手が見つかるなら、次につなげてほしい」と力を込めます。


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