空き店舗を若者が挑戦する場にリノベ 北九州市の黒崎商店街

照明器具などが残る「弘美屋」で往時を振り返る長岡さん(左)と大野木さん

 北九州市八幡西区の黒崎商店街で、空き店舗をリノベーションし、若者向けのチャレンジショップとして再生するプロジェクトが始まった。空き店舗を減らすとともに、まちづくりの新たな担い手の発掘を目指す。

再生プロジェクト始動


 空き店舗は、熊手銀天街で1963年に開店した婦人服店「弘美屋(ひろみや)」。店主の長岡嘉代子さんが2023年5月に84歳で死去し、閉店した。職人が作った婦人服を販売し、地域のお母さんたち向けに服作り教室も開催するなどしており、惜しまれながらの閉店だった。


再生への取り組みが始まった「弘美屋」


 プロジェクトは、黒崎商店組合連合会と同区の不動産会社「大英産業」、市でつくる「DE-PUBLISH推進協議会」が主催。空き地や空き家の活用に取り組む同区の一般社団法人「北九州未来づくりラボ」が企画・運営する。


 24年夏、同法人の事務局を務める大野木諒さん(28)が、長岡さんの長男・俊光さん(62)から「地域のために利活用したい」と相談を受け、嘉代子さんが黒崎を深く愛していたことや、店が地域の人々に大事にされていたことを知ったのがプロジェクトのきっかけとなった。


若い力でまちに活気を

 2月8日にキックオフイベントが開かれ、約20人が参加。空き店舗再生の事例紹介やプロジェクトの内容説明を受けた後、弘美屋の空き店舗に赴いた。鉄筋4階建てのうち、内装が当時のままの1階の売り場や2階の製作所を見学した。


再生プロジェクトのチラシ


 11日にリノベーションを開始。4月から短期間限定で開設する「ポップアップ出店」や、起業を目指して試しに店を開く「お試し出店」などの形で入居者を募集する。1階に4店舗ほどの入居を想定し、割安の家賃で提供する方針。

 俊光さんは、人々が肩をぶつけあうほど商店街がにぎわった頃を振り返りながら「プロジェクトが進んでくれればうれしい」と期待した。大野木さんは「ここを起点に活気を広げていきたい」と力を込めた。

 DE-PUBLISH推進協議会の調査では、約400店舗が並ぶとされる黒崎商店街一帯には少なくとも約50の空き店舗がある。微減の傾向というが、同協議会は今回のプロジェクトを契機に再生の対象を広げていきたいとしている。


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